【完】雪の上に、犬と猿。たまに男と女。

Bu-cha

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今日もそう聞かれ俺は口を開いた。



「喧嘩ばっかりですね。」



「どんな喧嘩をしているんですか?」



「くだらないことで喧嘩し過ぎているのであまり覚えていませんが、とりあえず今朝は洗面所を使う順番で大喧嘩しましたね。」



「凄い順調じゃないですか。
平和過ぎて幸せな朝ですよ。」



鮫島光一がそんな大袈裟なリアクションをしてくる。



「鮫島さんはどんな朝でしたか?」



「僕は天野の家で朝を迎えたので、天野の娘に時間ギリギリまで絵本読んでいましたね。」



「子ども好きなんですか?」



「今まで考えたこともありませんでしたけど、天野の娘と過ごすのは楽しいですね。」



その顔があまりにも幸せそうで。
“普通”ではないくらいに幸せそうで。
かなり違和感を感じたので頭をよく回してから聞いてみた。



「天野さんの娘さん、何歳なんですか?」



「まだチビッ子ですね。」



「娘さんに懐かれているんですか?」



「そうですね、結構懐かれてますね。」



「何て呼ばれてるんですか?」



「名前で呼ばれてますけど。」



「鮫島さんは何て呼んでるんですか?」



「僕も名前で呼んでますね。」



俺が聞いた質問に一瞬だけ違う反応をしていた。
微かな反応だけど、確かにしていた。
この人達と関わるようになってから俺も凄い刺激されていた。
この会社に普通にいただけでは経験出来ないようなことを経験したのだろう。



それに感謝もしながら“普通”の笑顔で聞いた。



「天野さんの娘さん、何て名前なんですか?」



俺の質問に鮫島光一は何故か須崎社長のことを少しだけ意識したような反応を見せた。
でも、完璧な営業スマイルで笑ってみせた。



「桃ですね、3月生まれらしくて。
母親は紅葉なのでそういう名前を付けたみたいですよ。」



天野さんの娘さんは“桃”という名前らしい。
だからあんなに幸せそうな顔で笑っていたらしい。



「鮫島さんも幸せな朝を過ごしてるじゃないですか。
上司の家で過ごしているのにそんな朝を迎えられるなんて良いですね。
僕なんて須崎の家で過ごした朝なんて蹴飛ばされて起こされましたことがありますからね。」



「あれは俺じゃなくて母ちゃんだよ!」



「そんなだるい嘘言わないでよ、俺起きてたし。」



「起きてたならとっとと起き上がれよ!!」
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