【完】雪の上に、犬と猿。たまに男と女。

Bu-cha

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今度はオババせんぱいが嗚咽を漏らしながら泣いてしまった。
オババせんぱいが泣く方が俺には衝撃的で、俺は思わず竜さんを睨み付けた。
竜さんは俺の視線なんて気付かないくらいにオロオロとしてオババせんぱいを見ている。



「いや、だって俺の子どもだって言われなかったし・・・。
それにお前は佐竹とデキてるとも思ってたし、お前とやった時、俺は途中で切り上げてたし・・・。
子どもは2人とも俺には1ミリも似てねーし、離婚してから俺はお前と佐竹との子どもを育ててると思ってたくらいだぞ?
お前・・・お前、佐竹と不倫したし。」



人事部の部長である佐竹さん。
渋くて格好良く穏やかで優しい人。
その人を思い浮かべていると、ずっと黙っていた鮫島光一が口を開いた。



「こいつよりあの人の方が良かったんじゃねーの?
あの人すげー良い奴じゃん。
穏やかで優しくて、珠緒のことが大好きだろ。」



鮫島光一の言葉に反応したのはオババせんぱいではなく竜さんだった。



「あんな奴のどこが良いんだよ!!
良いのは見た目だけの奴なんだよ!!!
2人目が産まれた後は忙しい企画部じゃなくて人事部にいたこいつを!!!
人妻のこいつを!!!
あいつは手を出しやがった!!!
いくらこいつが酒に弱いからってな!!!
俺の嫁なのにあいつは手を出しやがった!!!
こいつは酒を飲むと誰とでもやる女なんだよ!!!」



「竜さん、そういうデリカシーないこと言うのマジでやめなって。」



「うるせーよ!!!
こいつはな、缶ビール半分で酔っ払って俺に頷いた女なんだよ!!!
こんな不細工な俺相手にあんな簡単に頷いたなら、佐竹なら余裕だろ!!!
電気だって消さないで目だって塞がなくなって余裕だろ!!!」



「“女好きの竜”はそうやってセックスしたのか。
人生でたった2回のセックス、それも2回とも途中で切り上げたセックスはそうやってやったのか。」



鮫島光一は、竜さんが人生で2回しかセックスをしていないことを知っていた。



「病室で毎日毎日“珠緒”と大喧嘩した後にこの人がいなくなってから嘆いてたよな、“珠緒と最後までやってみたかった”って。
“珠緒と3回目のセックスがしてみたかった”って。
それで毎日毎日号泣してたな、珠緒と・・・」



鮫島光一が言葉を切った後、竜さんの方を笑いながら見た。
完璧な営業スマイルでも鋭い目付きで笑う笑顔でもなく、優しい優しい顔で笑っている。



そして、口をゆっくりと開いた。



「過去のことにいつまで囚われてるんだよ。
そんなんだから2回しかセックス出来ないんだろ、バカだな。」



俺も竜さんに言われたような言葉を鮫島光一も言った。
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