【完】雪の上に、犬と猿。たまに男と女。

Bu-cha

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オババせんぱいと竜さんに笑顔を返していると、その後ろからどう見てもほろ酔いの矢田さんが悔しそうな顔で宮本さんの隣に並び歩いてきた。



「せっっっかく武蔵を加賀の婿養子に出来たのに!!!」



と、何故かそんなことを叫び宝田のことを軽く睨み付けた。



「武蔵を“宮本武蔵”にする為に離婚するとか何度も言われてたから、俺は必死に武蔵が小さな頃から加賀の婿養子になれる為に育ててきたんだよ!!
やっっっっと武蔵が加賀の婿養子になれて安心してたのに、そしたらこれだよ!!!
あそこで“宮本武蔵”という武器まで出してくるなよ!!!」



「すみません、凄い巡り合わせだったので思わず持っていきました。
でも、持っていくと提案してきたのはこっちなので。」



宝田がそう言って私の方を見てきて、私は苦笑いをしながら矢田さんにお辞儀をした。



「いいよ、分かったよ、またあのおつまみを持って何度でも東京まで会いにくるよ。
あー・・・早く定年退職したい・・・。」



「それは困るよ、まだまだ藤コンサルティングの人事部長として頑張って貰わないと。」



聞き覚えのある声の主を見ると、やっぱり藤岡ホールディングスの社長だった。
矢田さんからしてみたら突然現れた藤岡社長にめちゃくちゃ驚いているけれど、福引きの時は毎回参加しているのでうちらは何も驚かない。



今日は珍しくスーツを着ている藤岡社長が内ポケットから何かを取り出しオババせんぱいに渡してきた。



「やっとコレを持っている時に会えたね。
昔預かっていた名刺をお返しするよ。
マツイ化粧品の社長にまでよく登り詰めたね。」



「覚えていてくださったんですね、ありがとうございます。」



オババせんぱいが驚いた顔をし、両手でその名刺を受け取った。
昔の自分の名刺であろうそれを見下ろし嬉しそうな顔になった後、名刺入れから新しい名刺を取り出し藤岡社長と名刺交換を。



「ねぇ、鮫島光一君って鮫島君よりも怖そうでビックリしちゃった。」



そんな光景を笑顔で見ていたら、宮本さんがコソッと私に言ってきた。
宮本さんの視線を追うとそこには鮫島光一と・・・



「「桃子せんぱい!!」」



桃子せんぱいがいた。
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