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「君と俺の世界は同じだよ。」
この人とのことを考えていた時、山ノ内が言った。
震える唇で、鼻を真っ赤にして言った。
「全然違うから。」
「同じだよ。
ただ、時間が違うだけ。
同じ世界の中、違う時間を生きているだけ。」
山ノ内がそう言って・・・
タバコのポーチを渡してきた・・・。
喫煙所で山ノ内からの言葉を断った私に、タバコのポーチを離してはくれたなかった。
それを今、私に渡してきた。
ゆっくりとそれを受け取ると、山ノ内が・・・言った。
「同じ世界の中にいるから、違う時間を生きていても必ずどこかで重なる。
だからあの日、重なった。」
「あの、1度だけ・・・。」
「そうじゃない。きっと、また重なる。」
山ノ内に何か言い返そうと口を開けるけど、その口からは何も言葉が出ない。
その代わりに、白い息だけが何度も小さく出ていく。
「俺は、タバコの煙が大好きなんだ。」
私の唇から漏れていく白い息を、山ノ内が・・・どこか懐かしそうな顔で見詰めながら、赤くかじかんでいる指先で触れた・・・。
「響ちゃんが吐き出すタバコの煙を知ってしまったから、俺はもう・・・」
そう言いながら、赤くかじかんだ手を唇の前からゆっくりと動かし、私の頬を包んだ。
冷たくなったと思っていた頬より、山ノ内の手の平の方がずっとずっと、冷たい。
この人とのことを考えていた時、山ノ内が言った。
震える唇で、鼻を真っ赤にして言った。
「全然違うから。」
「同じだよ。
ただ、時間が違うだけ。
同じ世界の中、違う時間を生きているだけ。」
山ノ内がそう言って・・・
タバコのポーチを渡してきた・・・。
喫煙所で山ノ内からの言葉を断った私に、タバコのポーチを離してはくれたなかった。
それを今、私に渡してきた。
ゆっくりとそれを受け取ると、山ノ内が・・・言った。
「同じ世界の中にいるから、違う時間を生きていても必ずどこかで重なる。
だからあの日、重なった。」
「あの、1度だけ・・・。」
「そうじゃない。きっと、また重なる。」
山ノ内に何か言い返そうと口を開けるけど、その口からは何も言葉が出ない。
その代わりに、白い息だけが何度も小さく出ていく。
「俺は、タバコの煙が大好きなんだ。」
私の唇から漏れていく白い息を、山ノ内が・・・どこか懐かしそうな顔で見詰めながら、赤くかじかんでいる指先で触れた・・・。
「響ちゃんが吐き出すタバコの煙を知ってしまったから、俺はもう・・・」
そう言いながら、赤くかじかんだ手を唇の前からゆっくりと動かし、私の頬を包んだ。
冷たくなったと思っていた頬より、山ノ内の手の平の方がずっとずっと、冷たい。
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