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そして、日曜日・・・。
ラフな格好でヒールもないブーツで、一人暮らしのマンションを出た。
2月に入り、本格的に寒くなってきた。
空を見上げると、雪が降りそうな空をしている・・・。
でも、黒い空ではなく明るい空・・・。
そんな中、繁華街の待ち合わせ場所へと向かうと、山ノ内が・・・いた。
山ノ内も空を見上げていて・・・
スーツでもない上等な生地のコートでもない、普通の私服を着ている。
上着を羽織っているから、寒そうではない。
そんな山ノ内の目の前に立つと、山ノ内が私の方をゆっくりと見た。
「・・・いつから待ってたの?」
寒そうではないと思っていたけど、私の方を見た山ノ内の鼻は赤くて・・・唇を震わせている。
それでも嬉しそうな顔をして私を見ていて・・・
私は、笑いながら・・・右手をこの人に差し出した・・・。
その手を、この人はゆっくりと握り・・・。
冷たい、冷たい・・・
凍えるように冷たい手で、握り・・・。
私の右手から、その冷たさが一瞬にして回る・・・。
裕福な家で生まれ育った私には、感じたことのない冷たさで・・・
この冷たさは、私の知らない冷たさで・・・
この冷たさこそが、私に必要な物なのだと思う・・・。
そんな冷たいこの人の手を握り締め、私の上着のコートのポケットの中に一緒に入れた・・・。
「この街でデートをしよう、拓実。」
そう言って、笑い掛けた。
拓実に、笑い掛けた。
“響”として、笑い掛けた・・・。
ラフな格好でヒールもないブーツで、一人暮らしのマンションを出た。
2月に入り、本格的に寒くなってきた。
空を見上げると、雪が降りそうな空をしている・・・。
でも、黒い空ではなく明るい空・・・。
そんな中、繁華街の待ち合わせ場所へと向かうと、山ノ内が・・・いた。
山ノ内も空を見上げていて・・・
スーツでもない上等な生地のコートでもない、普通の私服を着ている。
上着を羽織っているから、寒そうではない。
そんな山ノ内の目の前に立つと、山ノ内が私の方をゆっくりと見た。
「・・・いつから待ってたの?」
寒そうではないと思っていたけど、私の方を見た山ノ内の鼻は赤くて・・・唇を震わせている。
それでも嬉しそうな顔をして私を見ていて・・・
私は、笑いながら・・・右手をこの人に差し出した・・・。
その手を、この人はゆっくりと握り・・・。
冷たい、冷たい・・・
凍えるように冷たい手で、握り・・・。
私の右手から、その冷たさが一瞬にして回る・・・。
裕福な家で生まれ育った私には、感じたことのない冷たさで・・・
この冷たさは、私の知らない冷たさで・・・
この冷たさこそが、私に必要な物なのだと思う・・・。
そんな冷たいこの人の手を握り締め、私の上着のコートのポケットの中に一緒に入れた・・・。
「この街でデートをしよう、拓実。」
そう言って、笑い掛けた。
拓実に、笑い掛けた。
“響”として、笑い掛けた・・・。
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