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爺さんがお茶を啜って飲み、湯飲みを静かにテーブルに置いた。
「時子ちゃんが“迎えにくるから”って言ったから、僕はずっとあの街で待っていた。
時子ちゃんが迎えに来てくれるのを待っていた。」
「じいちゃん・・・。」
泣き始めた爺さんの肩に拓実が優しく手を置く。
「拓実が東京に行って立派になっても、時子ちゃんは全然僕を迎えにきてくれなかった。
一緒に生きたいと言っていたのに。
また僕と一緒に歩きたいと言っていたのに・・・。」
クソ親父が爺さんにティッシュを渡し、爺さんがそれで何度も涙を拭く。
「向こうで・・・他に良い人が出来たのかとも思ったよ。
僕は、僕の家は時子ちゃんの家とは違い貧乏で・・・本当だったら時子ちゃんと一緒にいることも許されない男だったから。」
その話を聞き、ママも声を出して泣き出した・・・。
ママが泣くところを私は初めて見た・・・。
「そしたら・・・来た・・・。
迎えに来た・・・。
1月1日・・・。
“スナック 時”のマッチで線香に火をつけたら、来た・・・。
時子ちゃんが・・・。」
「私だけどね。」
「違う。時子ちゃんだった。
僕が時子ちゃんのことが分からないはずがない。
だって、ずっと一緒にいた。
時子ちゃんの家で僕は幼い頃から一緒に住んでいた。
ボロボロの僕の母さんを助けてくれて、僕のことも受け入れてくれたから。」
「時子ちゃんが“迎えにくるから”って言ったから、僕はずっとあの街で待っていた。
時子ちゃんが迎えに来てくれるのを待っていた。」
「じいちゃん・・・。」
泣き始めた爺さんの肩に拓実が優しく手を置く。
「拓実が東京に行って立派になっても、時子ちゃんは全然僕を迎えにきてくれなかった。
一緒に生きたいと言っていたのに。
また僕と一緒に歩きたいと言っていたのに・・・。」
クソ親父が爺さんにティッシュを渡し、爺さんがそれで何度も涙を拭く。
「向こうで・・・他に良い人が出来たのかとも思ったよ。
僕は、僕の家は時子ちゃんの家とは違い貧乏で・・・本当だったら時子ちゃんと一緒にいることも許されない男だったから。」
その話を聞き、ママも声を出して泣き出した・・・。
ママが泣くところを私は初めて見た・・・。
「そしたら・・・来た・・・。
迎えに来た・・・。
1月1日・・・。
“スナック 時”のマッチで線香に火をつけたら、来た・・・。
時子ちゃんが・・・。」
「私だけどね。」
「違う。時子ちゃんだった。
僕が時子ちゃんのことが分からないはずがない。
だって、ずっと一緒にいた。
時子ちゃんの家で僕は幼い頃から一緒に住んでいた。
ボロボロの僕の母さんを助けてくれて、僕のことも受け入れてくれたから。」
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