上 下
74 / 456
5

5-7

しおりを挟む
そんな勝也の笑顔を見ながら、私は泣いてしまった・・・。




こんなに格好良い顔をして、社会人歴は私より4年間も長いのに・・・。




それでも・・・こんなに幼さを残した顔をしているのは・・・。






私は泣きながら、勝也の肩にオデコを付けた・・・。






「小さな頃の勝也も、きっと許してくれる・・・。」






勝也をソッと抱き締める・・・。






「24歳になった勝也が上着を着ても、小さな頃の勝也もきっと許してくれるから。」







勝也は何も言わず、固まっている・・・。










「着せてあげよう、あの頃の勝也と一緒に・・・。」








勝也を強く、強く、抱き締める・・・。









「寒いのに、頑張ったねって・・・。
あの頃の勝也を褒めてあげて、あの頃の勝也にも、着せてあげよう。」






勝也が、震える両手で私を抱き締める・・・。





「許してくれるかな・・・」







「許してくれるよ、勝也は優しい子だから。
もしも許してくれなかったら、私もあの頃の勝也と話すから。」
しおりを挟む

処理中です...