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それから、シフトが終わる時間が少しでも合えば、勝也は私を家まで送ってくれた。
「寒~!!!」
「もう、観念しよう!!
観念して、上着買おうって!!
風邪引くよ!?」
「小学校の時、冬でも半袖だったのクラスで俺だけだったけど・・・。
俺、風邪引いたことないからな!!」
「今年は引くかもしれないし!」
「子どもは風の子だからな!!!」
「勝也、もう子どもじゃないでしょ?」
「心の中は、まだ子どもだからな!!」
そう、言われ・・・
私はガタガタと震えている勝也を見る。
“ゾーン”には入っていないけど・・・
それでも、見えた・・・。
勝也の中には、まだ居る・・・。
“小学生”の勝也が・・・。
まだ、居る・・・。
あんなに小さな男の子が・・・
“樹里ちゃんのお兄ちゃん”で、
“樹里ちゃんのお母さん”で、
“樹里ちゃんのお父さん”でもあった。
そして、気付いた・・・。
「勝也のお父さん・・・お母さんのこと、“母ちゃん”って呼んでたの?」
「凄いな!莉央は何でも分かるな!」
分かるよ・・・。
だって、その時の勝也とずっと一緒にいたんだから・・・。
お父さんと、お母さんと、樹里ちゃん、そして勝也の家に、私は毎日いたんだから・・・。
勝也は、きっと・・・
お母さんにとっての“お父さん”でも、いた・・・。
勝也は・・・
勝也は・・・
“あの頃の勝也”は・・・
“勝也”であって、“勝也”ではなかった・・・。
“あの頃の勝也”が、1人で、たった1人で、大きくなった勝也の中で、残されている・・・。
「寒~!!!」
「もう、観念しよう!!
観念して、上着買おうって!!
風邪引くよ!?」
「小学校の時、冬でも半袖だったのクラスで俺だけだったけど・・・。
俺、風邪引いたことないからな!!」
「今年は引くかもしれないし!」
「子どもは風の子だからな!!!」
「勝也、もう子どもじゃないでしょ?」
「心の中は、まだ子どもだからな!!」
そう、言われ・・・
私はガタガタと震えている勝也を見る。
“ゾーン”には入っていないけど・・・
それでも、見えた・・・。
勝也の中には、まだ居る・・・。
“小学生”の勝也が・・・。
まだ、居る・・・。
あんなに小さな男の子が・・・
“樹里ちゃんのお兄ちゃん”で、
“樹里ちゃんのお母さん”で、
“樹里ちゃんのお父さん”でもあった。
そして、気付いた・・・。
「勝也のお父さん・・・お母さんのこと、“母ちゃん”って呼んでたの?」
「凄いな!莉央は何でも分かるな!」
分かるよ・・・。
だって、その時の勝也とずっと一緒にいたんだから・・・。
お父さんと、お母さんと、樹里ちゃん、そして勝也の家に、私は毎日いたんだから・・・。
勝也は、きっと・・・
お母さんにとっての“お父さん”でも、いた・・・。
勝也は・・・
勝也は・・・
“あの頃の勝也”は・・・
“勝也”であって、“勝也”ではなかった・・・。
“あの頃の勝也”が、1人で、たった1人で、大きくなった勝也の中で、残されている・・・。
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