上 下
403 / 456
9

9-13

しおりを挟む
少し立ち上がり、勝也の顔の前でギュッと抱き締めると・・・
震える両手で私を抱き締め・・・私のそこまで膨らんでいない胸に顔を付けて・・・
“勝也”は泣いていた・・・。



“勝也”は、泣いていた・・・。



少しだけ、声を出して・・・。




そんな勝也を見ながら、考える・・・。




どうやったら、“資格”をあげられるんだろう・・・。




どんな“資格”を、あげればいいんだろう・・・。





考えて・・・





考えて・・・





考えた・・・。






それでもやっぱり、分からなくて・・・。






私は、私の胸の中で泣き続ける“勝也”を、見る・・・。






“勝也”を・・・







“勝也”を・・・







写真の中のお父さんの顔と似ていない“勝也”を・・・






“樹里”ちゃんとソックリな顔をしている“勝也”を・・・






“勝也”を、もう1度見る・・・。







今度は・・・次は、角度を変えて・・・







よく、見る・・・。







そして、伝えた・・・。







「今年のクリスマスプレゼント、“シェフ”の勝也からのプレゼントは我慢する。
だから、私にちょうだい?
私に・・・私に・・・1つだけ、“勝也”からプレゼントを、ちょうだい?」
しおりを挟む

処理中です...