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─────────
────────────・・・・・
幼稚園 年長
「ちあうちあうちあう・・・・・っっ!!
こんなん、じゃ、ない・・・っっ!!!!
こんなんじゃ・・・ない・・・・っっ!!!!」
朝、幼稚園の制服ではなく体操着を着て、お母さんのドレッサーの前で泣きながらお父さんに文句を言う。
「昨日よりは上手に出来てるだろ?」
お父さんが言う通り、鏡の中にいる“りい”の髪の毛は昨日よりは上手に2つ結びが出来ている。
でも・・・
でも・・・
「ちあう・・っっちあう・・・・っっ!!
おかあさんは、もっとここ・・・、ここ、ここをこうして・・・あみこみなってて、ここ、こうやって・・・っっ」
口では上手に説明が出来なくて、お父さんが結んだゴムを無理矢理取ると髪の毛がブチブチと音を鳴らして抜けた。
それも痛くて泣きながら、“りい”は自分であみこみをしていく。
お母さんに教えて貰ったけど1度も成功したことがないあみこみを。
でも、やっぱり出来なくて。
全然、全然出来なくて。
叫びながら髪の毛を両手でグジャグシャにして、もっと大きく叫びながらゴムをお父さんに投げ付けた。
「おとーさ・・・が、わうい・・・!!!
おとーさ、が、わういんだよ・・・!!!
おとーさが、びょ・・・きになったから、おかーさが、びょー・・・きに、なったんらよ・・・・!!!」
お父さんは結構長い間入院をしていて、ガリガリになったお父さんが退院をしてきた時は凄く嬉しかったけど、その後すぐにお母さんが病気になって入院をしてしまった。
“俺が入院をしたせいでお母さんが疲れちゃったんだよ。
寂しい思いをさせてごめんね、理衣。”
“サラリーマン”というのを辞めたお父さんは毎日”りい“にそう言って、家のすぐ近くで小さなご飯屋さんを始めた。
だから幼稚園が終わった後やお休みの日もそのお店にいれば良いんだけど、いつも人がいっぱいいるそのお店の中ではお父さんはお父さんではなく”店長さん“で。
「うん、お父さんが全部悪いんだよ、ごめんね、理衣。
理衣は何も悪くないからね。」
お父さんが今日もそう言ってくるから、また泣いた。
だって、”りい“も本当は分かっているから。
お母さんは”りい“のせいで病気になった。
お母さんは”りい“のせいで入院をした。
”りい“がお母さんにワガママばっかり言ったし、お父さんが病気になって入院したのはお母さんのせいだって言ったし、他にも沢山言った。
いっぱいいっぱい酷いことを言った。
だからお母さんは病気になってしまった。
“りい“のせいで病気になってしまった。
全部”りい“が悪い。
全部全部”りい“が悪い。
元々身体が強くないというお母さんから”りい“が生まれてしてしまったのが悪い。
今日もそう思いながら、家を飛び出した。
「あ・・・、理衣!!!
今日も髪の毛結ばなくて良いのか!?
これから運動会だぞ!?
お母さん写真楽しみにしてるぞ!?」
お父さんのそんな言葉は聞こえたけれど、飛び出した。
走ってすぐの所にある”じゅん“の家に向かって、飛び出した。
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幼稚園 年長
「ちあうちあうちあう・・・・・っっ!!
こんなん、じゃ、ない・・・っっ!!!!
こんなんじゃ・・・ない・・・・っっ!!!!」
朝、幼稚園の制服ではなく体操着を着て、お母さんのドレッサーの前で泣きながらお父さんに文句を言う。
「昨日よりは上手に出来てるだろ?」
お父さんが言う通り、鏡の中にいる“りい”の髪の毛は昨日よりは上手に2つ結びが出来ている。
でも・・・
でも・・・
「ちあう・・っっちあう・・・・っっ!!
おかあさんは、もっとここ・・・、ここ、ここをこうして・・・あみこみなってて、ここ、こうやって・・・っっ」
口では上手に説明が出来なくて、お父さんが結んだゴムを無理矢理取ると髪の毛がブチブチと音を鳴らして抜けた。
それも痛くて泣きながら、“りい”は自分であみこみをしていく。
お母さんに教えて貰ったけど1度も成功したことがないあみこみを。
でも、やっぱり出来なくて。
全然、全然出来なくて。
叫びながら髪の毛を両手でグジャグシャにして、もっと大きく叫びながらゴムをお父さんに投げ付けた。
「おとーさ・・・が、わうい・・・!!!
おとーさ、が、わういんだよ・・・!!!
おとーさが、びょ・・・きになったから、おかーさが、びょー・・・きに、なったんらよ・・・・!!!」
お父さんは結構長い間入院をしていて、ガリガリになったお父さんが退院をしてきた時は凄く嬉しかったけど、その後すぐにお母さんが病気になって入院をしてしまった。
“俺が入院をしたせいでお母さんが疲れちゃったんだよ。
寂しい思いをさせてごめんね、理衣。”
“サラリーマン”というのを辞めたお父さんは毎日”りい“にそう言って、家のすぐ近くで小さなご飯屋さんを始めた。
だから幼稚園が終わった後やお休みの日もそのお店にいれば良いんだけど、いつも人がいっぱいいるそのお店の中ではお父さんはお父さんではなく”店長さん“で。
「うん、お父さんが全部悪いんだよ、ごめんね、理衣。
理衣は何も悪くないからね。」
お父さんが今日もそう言ってくるから、また泣いた。
だって、”りい“も本当は分かっているから。
お母さんは”りい“のせいで病気になった。
お母さんは”りい“のせいで入院をした。
”りい“がお母さんにワガママばっかり言ったし、お父さんが病気になって入院したのはお母さんのせいだって言ったし、他にも沢山言った。
いっぱいいっぱい酷いことを言った。
だからお母さんは病気になってしまった。
“りい“のせいで病気になってしまった。
全部”りい“が悪い。
全部全部”りい“が悪い。
元々身体が強くないというお母さんから”りい“が生まれてしてしまったのが悪い。
今日もそう思いながら、家を飛び出した。
「あ・・・、理衣!!!
今日も髪の毛結ばなくて良いのか!?
これから運動会だぞ!?
お母さん写真楽しみにしてるぞ!?」
お父さんのそんな言葉は聞こえたけれど、飛び出した。
走ってすぐの所にある”じゅん“の家に向かって、飛び出した。
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