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カヤから龍二さんの方へと視線を移す。
男前な顔をしている俺よりも結構歳上の龍二さんが、まるで高校生に見えるような笑顔で笑い掛けてきた。



「妄想なんてタダだし、自分で言わない限りは絶対にバレねーじゃん。
妄想の中でやりまくってればいいだろ、もう二度と会えねーなら俺みたいに暴走することもねーだろうし。」



「そんな問題っすか?」



「下半身の問題なんてそんなもんだろ!!
出すもん出せば本物が目の前にいないならいくらかスッキリして終わり!!」



「いや、先生・・・もっとこう、なんか他にアドバイスないんっすか?」



俺が聞くと“尾崎先生”は少しだけ悩み、でもすぐに口を開いた。



「この世界にいるなら本物の天使じゃなくて“普通”の女だろ!!
俺が職権乱用してその女の住所を調べてきてやる!!
そんなに悶々としてるなら“もう1回やらせて”くらい言ってこいよ!!
1回やらせてくれたなら2回目も可能性あるだろ!!」



そんなアドバイスには自然と大きく笑い、不思議と少しだけ軽くなった胸に右手を当てた。



「龍二さんがいなくなったら学校がつまらなくなるので職権は乱用しないでください。」



「仕方ねーな、お前の青春リベンジに俺も付き合ってやるよ。
在校生の女とは変な青春すんなよ!!
実年齢は大人なんだからな!?」



龍二さんがそう言って、笑った。
まるで高校生の男子のような顔になり、ニッと大きく俺に笑い掛けてくる。



その笑顔を見ながら今日も言ってみる。



「弁当、一口でいいからくださいよ。
美味しそうな弁当をそんなに幸せそうに食べられると俺まで食べたくなるんですけど。」



うちは共働きで、母さんも父さんも料理をすることなんてほとんどなかった。
それに今まで何も思ったことはなかったけれど、龍二さんが食べる手作りの愛妻弁当を見ていると毎回どんな味がするのか気になってしまっていた。



毎回すぐに断られていたけれど、龍二さんが今日は悩んだ様子になっている。
そして驚くことに、コンビニで買った俺の弁当箱の中に愛妻弁当の中に残っていたおかずを少しだけ入れてくれた。



「この代わりに俺にも描けよな!!」
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