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今の私はアイテープをしていないし、ニャンの絵を知っている人なのだと分かった。



「須崎さんのことを待っていまして。」



「だろうな!!」



男の人が大きく笑い、親指で暗い校舎を指差した。



「美術部はとっくに終わってるのに校舎でボーッとしてるぞ?」



そう言ってから、校門の端にある小さな扉を開けてくれた。



「迎えに行ってやれよ、学校が大好きすぎて帰れない生徒なんだよ。」



「いいんですか?」



「職権乱用とお礼に!!」



「お礼?」



私が首を傾げながら聞くと、男の人が嬉しそうな顔で私のことを見下ろしてきた。



「本当に本物の“天使”だな!!
キミのお陰で我が家に“天使”が来てくれた!!」



「天使がですか?」



「どっちも問題ないはずなのになかなか子どもが出来なくてさ。
俺は深く考えてなかったんだけど、奥さんが“やっぱり結婚しちゃいけなかったのかな”なんて悩み出してた時で。
どうすっかなと思ってたタイミングで夏夜から“夏の夜の、天使”水彩画バージョン貰って!!
マジで一瞬で妊娠した!一瞬で!!!」



男の人が大きく笑いながら私に右手を差し出してきたので、流されるように私も右手を出して握手をした。



その大きな大きな手を見た時に不思議と見えた。



「絆創膏・・・。」



見えないはずの沢山の絆創膏が見えた。



「マジか・・・そんなのも見える系?」



「いえ、普段は見えないんですけど・・・。」



自分でも驚きながら男の人の顔に視線を戻すと・・・



思わず笑ってしまった。



「顔も絆創膏だらけですけど!!」



「まあな!!怪我ばっかりしてた!!」



そう言ってニッと笑う顔は、実際の年齢よりもずっとずっと少年のように見えた。



「俺の“学校の友達”、よろしくな!!」



男の人のそんな声を聞きながら校舎へと歩いていると、校舎には大きな垂れ幕が・・・。
男子バスケ部はウィンターカップに出場したらしい。



「男バスって廃部寸前だったのに・・・。」



そんなことを呟きながら今年も校舎へと入った。
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