174 / 193
13
13-3
しおりを挟む
マンションから近いファミレス、会長の斜め前の椅子に座り、ガムシロップも入れなかった黒いアイスコーヒーを見下ろしながら言う。
「担当変えて貰うことって出来る?」
ずっと渡したいと思っていたガムシロップを“会長”に渡すことが出来た。
それに少しだけ満足をしながらもそう伝えた。
「松戸に私から伝えておく。」
「うん、よろしくな。」
会長は俺からの申し出をすんなりと受け入れた。
それは当たり前で。
会長は俺にそういう感情なんて1ミリもないから当たり前で。
この女の子は“カヤ”ではなく“会長”だと分かっているのにこの心臓が痛くなってきて、その痛みを誤魔化す為にスマホを取り出し操作をした。
「好きな女の子、置いてきて良かったの?」
「うん。」
“カヤ”は待っていてくれている。
ずっとあの部屋で俺を待ってくれている。
俺の“天使”は俺が画家を続けられるようにいつもあそこにいてくれる。
「私、まだ1年目だけど結構仕事出来るよ?
それに担当は私だけど松戸が確認もするし・・・。」
「仕事が出来るだろうなとは分かる、会長だし。」
会長にも会長の仕事があるのでそれには申し訳ない気持ちになりながら、仕方がないのでこれを言わせて貰う。
「告白して振られた相手と仕事とか無理だろ?」
そう言った俺に会長は悲しそうな顔をした。
本当に一瞬だけ。
あれだけ仲は良かったからこの言葉はキツかったのかもしれない。
それに俺の心臓ももっと痛くなったけれど、俺は何も言わなかった。
会長も何も言わなかった。
お互いにまた無言になり数分、俺は気付いた。
このファミレスにネコがいた。
一瞬めちゃくちゃビックリしたけど、それがあの不細工なネコだと分かり口を結んだ。
会長のことをチラッと見てみるとアイスティーを見下ろしボーッとしていた。
会長にあの不細工なネコのことを教えようと俺は口を開いた。
その瞬間・・・
「ニャア───────────....」
と、不細工なネコが鳴いた。
その声を追うようにまた不細工なネコを見ると、ネコはファミレスの出入口の方を見た。
それに釣られて俺も出入口を見ると・・・
どう見ても一般人には見えないような男が入ってきた。
ジャケットも着たスーツ姿で、でも整えていたであろう髪の毛を少しだけ乱し、呼吸は上がっていて。
汗が流れているその顔は輝いていた。
汗で輝いているわけではなくて、その表情が輝いているのだと分かるくらい、それくらいに輝いている。
そんな表情を浮かべている男はこっちを見ていた。
俺ではなく、会長のことを・・・。
会長のことを見て顔を輝かせながら歩いてきた・・・。
早足で歩いてきた・・・。
そして、会長と俺がいる席の前に辿り着くと爽やかな笑顔で、でもそこに申し訳なさの色を浮かべて俺を見てきた。
「お約束の時間より大幅に遅くなりまして申し訳ありません。
松戸会計事務所の松戸です。」
そう言って名刺を俺に差し出してきた。
「担当変えて貰うことって出来る?」
ずっと渡したいと思っていたガムシロップを“会長”に渡すことが出来た。
それに少しだけ満足をしながらもそう伝えた。
「松戸に私から伝えておく。」
「うん、よろしくな。」
会長は俺からの申し出をすんなりと受け入れた。
それは当たり前で。
会長は俺にそういう感情なんて1ミリもないから当たり前で。
この女の子は“カヤ”ではなく“会長”だと分かっているのにこの心臓が痛くなってきて、その痛みを誤魔化す為にスマホを取り出し操作をした。
「好きな女の子、置いてきて良かったの?」
「うん。」
“カヤ”は待っていてくれている。
ずっとあの部屋で俺を待ってくれている。
俺の“天使”は俺が画家を続けられるようにいつもあそこにいてくれる。
「私、まだ1年目だけど結構仕事出来るよ?
それに担当は私だけど松戸が確認もするし・・・。」
「仕事が出来るだろうなとは分かる、会長だし。」
会長にも会長の仕事があるのでそれには申し訳ない気持ちになりながら、仕方がないのでこれを言わせて貰う。
「告白して振られた相手と仕事とか無理だろ?」
そう言った俺に会長は悲しそうな顔をした。
本当に一瞬だけ。
あれだけ仲は良かったからこの言葉はキツかったのかもしれない。
それに俺の心臓ももっと痛くなったけれど、俺は何も言わなかった。
会長も何も言わなかった。
お互いにまた無言になり数分、俺は気付いた。
このファミレスにネコがいた。
一瞬めちゃくちゃビックリしたけど、それがあの不細工なネコだと分かり口を結んだ。
会長のことをチラッと見てみるとアイスティーを見下ろしボーッとしていた。
会長にあの不細工なネコのことを教えようと俺は口を開いた。
その瞬間・・・
「ニャア───────────....」
と、不細工なネコが鳴いた。
その声を追うようにまた不細工なネコを見ると、ネコはファミレスの出入口の方を見た。
それに釣られて俺も出入口を見ると・・・
どう見ても一般人には見えないような男が入ってきた。
ジャケットも着たスーツ姿で、でも整えていたであろう髪の毛を少しだけ乱し、呼吸は上がっていて。
汗が流れているその顔は輝いていた。
汗で輝いているわけではなくて、その表情が輝いているのだと分かるくらい、それくらいに輝いている。
そんな表情を浮かべている男はこっちを見ていた。
俺ではなく、会長のことを・・・。
会長のことを見て顔を輝かせながら歩いてきた・・・。
早足で歩いてきた・・・。
そして、会長と俺がいる席の前に辿り着くと爽やかな笑顔で、でもそこに申し訳なさの色を浮かべて俺を見てきた。
「お約束の時間より大幅に遅くなりまして申し訳ありません。
松戸会計事務所の松戸です。」
そう言って名刺を俺に差し出してきた。
0
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる