【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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28歳 春・・・。



小町が加賀製薬に入社をした。
入社式の日の朝、リクルートスーツを着た姿を俺に見せてくれた。



綺麗だった・・・。
小町はやっぱり綺麗だった・・・。



“うん。”としか言えないくらいで・・・。



大人の女性になってしまったような小町を見て、俺は“うん”としか言えなくなってしまって・・・。



選ばれていない・・・。
俺はまだ選ばれていないから・・・。



居候の俺がその先を言うのは許されないことのように思えて・・・。
俺は“うん”としか言えなかった・・・。



「社長の娘さん、めちゃくちゃ美人だよな!?」



お昼休みの食堂。
今日も社員達からこの言葉が聞こえてくる。
小町が入社してから毎日のように聞こえてくる言葉。



「二十歳の時から婚約者いるらしいぞ?」



「加賀製薬の一人娘だと大変なんだな。
あんなに美人なのに親が決めた奴と結婚するのか。」



「でもうちの会社の社長って、代々婿養子の人だからな?
それで業界トップを続けてて、自分の代でそれが終わるとか普通の男には無理だろ。
怖すぎるだろ。」



「それは確かにあるな。
普通だったらそんな大役担えないな。
だからあの社長が選んだ男なら大丈夫だろ。」



どういうわけか、小町が入社してくる数日前から小町には婚約者がいることが知られていた。
そして、その婚約者が将来の社長になるとも。



そんな話題で持ちきりの中現れたのが絶世の美女である小町で。
小町は営業の新卒研修で、終わってから社内に短時間戻ってくるだけらしいけど。



疎い俺でも分かるくらい、社内では小町の話がよくされていた。
そして、小町の婚約者についても。



俺はそんな話を聞くのも辛くなり、最後に大急ぎで唐揚げ定食を食べきりトレーを持ち上げた。
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