【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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大きな大きなお屋敷。
その中で私は鼻歌を歌いながら小走りで進んでいく。



大股ではなく、小股で。



自分の姿を見下ろして自然と笑顔になってくる。



今日は11月8日。
お父さんとお母さんが買ってくれた濃い桜色の着物を着ている。



可愛くも美しくもある着物。
その着物を着て、お屋敷の中を小走りで進んでいく。



長い長い廊下・・・。



そこに、私の大好きな人の後ろ姿が。



見付けた瞬間、抑えられないニヤけた顔と大きく高鳴る心臓の音。



この可愛いくも美しくもある着物をあの人は何て言ってくれるか。



どんな顔をしてくれるか。



私は“美人”だから。



“小町”という名の通り、私は“絶世の美女”と言われている。



小野小町のように歌は詠めないけれど、私は“絶世の美女”と言われている。



そんな私がこんなに可愛いくも美しくもある着物姿になって、あの人は何て言ってくれるか。



どんな顔をしてくれるか。



考えただけでドキドキとしたしワクワクとした。



胸を両手で抑えながら大好きな人の名前を呼んだ。



大好きな大好きな人の名前を。





















「武蔵!!!」







大好きな武蔵が立ち止まり、ゆっくりと・・・





ゆっくりと、振り返る・・・。





私に、振り返る・・・。





振り返る・・・。
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