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10歳
「ヒメ!お前これ・・・また王宮で盗んできたのか!?」
王宮で盗んできた大量の食べ物を持って家に帰ると、暗闇の中で今日もアントが押し掛け怒ってきた。
「今日は月が出てないからね。
もっと盗んできたかったけどこれが限界だった。」
「危ないことはやめろって!!
見付かったら即殺されるだろうし、“鼠の地”のみんなも殺されるかもしれないだろ!?」
「私のことを鞭で痛め付けたり殺すだろうけど、みんなのことはしないでしょ。
そんなことをしたら魔獣の駆除をする“鼠”の数が減って、王宮に魔獣が押し寄せるかもしれないからね。
大昔、芋を求めた多くの“鼠”を鞭打ちにし殺して、そのすぐ後に魔獣が大量発生して王宮内にまで押し寄せた惨事があったから。」
「そうかもしれないけど、でもな・・・っ!!」
アントの叫び声が夜の黒の中で響く。
魔獣が現れる“死の森”が目の前にある“鼠の地”。
濃淡のある霧が天にも大地にも広がり終わりが見えない“死の森”。
生き物はおらずたまに赤い小さな花があるだけで、ヒビ割れた大地が続き魔獣が現れる。
王宮と“死の森”の間にある広大な地が、王都が管轄している奴隷、“鼠”が暮らす世界だった。
夜の黒の中でもよく分かる、怒りと心配の光りがあるアントの目を見詰めながら言う。
「国からは1人につき1日1つの芋が配給されるだけの毎日。
女や子供達が育てる食物は頻繁に現れる魔獣によって踏み荒らされ、常に空腹状態。
それでも魔獣と戦わなければいけない。
それでも・・・」
言葉を切った後に王宮で盗んだ火の通っている肉をアントに1つ手渡した。
「それでも、生き延びて欲しいと私は思う。
私はこの“鼠の地”に生きる全ての“鼠”に生き延びて欲しい。
その為には食べなければ。」
私の言葉に今日もアントは神妙な顔になり、手に持った肉を見下ろした。
そしてそれを・・・
勢い良く食べていく。
アントのその姿を確認した後、袋に入った大量の食べ物を肩に担いだ。
「アント、あの王宮の向こう側には綺麗な家が建ち並んでるんだって。
そこでは魔獣が現れることもなくて多くの人間が豊かに暮らしているらしい。
そのもっと向こう側には自然豊かな大地が広がっていて、食べ物も豊富に実っているんだって。」
「お前、そんな夢みたいな話はするな。
王宮の向こう側なんて存在しない。
この世界にあるのはこの“鼠の地”とあの王宮だけだ。」
肉を食べ終えたアントが私のことを睨み付けてきた。
それには小さく笑った後に私が寝起きしている“廃屋”を出た。
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10歳
「ヒメ!お前これ・・・また王宮で盗んできたのか!?」
王宮で盗んできた大量の食べ物を持って家に帰ると、暗闇の中で今日もアントが押し掛け怒ってきた。
「今日は月が出てないからね。
もっと盗んできたかったけどこれが限界だった。」
「危ないことはやめろって!!
見付かったら即殺されるだろうし、“鼠の地”のみんなも殺されるかもしれないだろ!?」
「私のことを鞭で痛め付けたり殺すだろうけど、みんなのことはしないでしょ。
そんなことをしたら魔獣の駆除をする“鼠”の数が減って、王宮に魔獣が押し寄せるかもしれないからね。
大昔、芋を求めた多くの“鼠”を鞭打ちにし殺して、そのすぐ後に魔獣が大量発生して王宮内にまで押し寄せた惨事があったから。」
「そうかもしれないけど、でもな・・・っ!!」
アントの叫び声が夜の黒の中で響く。
魔獣が現れる“死の森”が目の前にある“鼠の地”。
濃淡のある霧が天にも大地にも広がり終わりが見えない“死の森”。
生き物はおらずたまに赤い小さな花があるだけで、ヒビ割れた大地が続き魔獣が現れる。
王宮と“死の森”の間にある広大な地が、王都が管轄している奴隷、“鼠”が暮らす世界だった。
夜の黒の中でもよく分かる、怒りと心配の光りがあるアントの目を見詰めながら言う。
「国からは1人につき1日1つの芋が配給されるだけの毎日。
女や子供達が育てる食物は頻繁に現れる魔獣によって踏み荒らされ、常に空腹状態。
それでも魔獣と戦わなければいけない。
それでも・・・」
言葉を切った後に王宮で盗んだ火の通っている肉をアントに1つ手渡した。
「それでも、生き延びて欲しいと私は思う。
私はこの“鼠の地”に生きる全ての“鼠”に生き延びて欲しい。
その為には食べなければ。」
私の言葉に今日もアントは神妙な顔になり、手に持った肉を見下ろした。
そしてそれを・・・
勢い良く食べていく。
アントのその姿を確認した後、袋に入った大量の食べ物を肩に担いだ。
「アント、あの王宮の向こう側には綺麗な家が建ち並んでるんだって。
そこでは魔獣が現れることもなくて多くの人間が豊かに暮らしているらしい。
そのもっと向こう側には自然豊かな大地が広がっていて、食べ物も豊富に実っているんだって。」
「お前、そんな夢みたいな話はするな。
王宮の向こう側なんて存在しない。
この世界にあるのはこの“鼠の地”とあの王宮だけだ。」
肉を食べ終えたアントが私のことを睨み付けてきた。
それには小さく笑った後に私が寝起きしている“廃屋”を出た。
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