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お兄ちゃんがそう言ったかと思ったら・・・
私のことを少し長めに見てきた・・・。
お兄ちゃんもある程度なら見える・・・。
それに少しだけ緊張していると、お兄ちゃんが口を開いた。



「もしかしてガンガン攻めてきてるのって、その人事部長代理の男か!!!」



「・・・うん。」



私の返事に大満足そうな顔をして笑っているお兄ちゃん・・・。



「まだ大学生だったけど、良さそうな奴だったよ。
なにより、あの人の仲間に悪い奴は絶対にいないしな。」



お兄ちゃんがそう言うので、今度は私が口を開いた。



「あの派遣さん、“私”のことを知ってる人なんだよね。
私が人間なのか猿なのかよく分からない生き物だったのを、知ってるはずの人なんだよね。」



真面目な顔になったお兄ちゃんに笑い掛ける。



「猿だった時の“私”のことは、当たり前だけど女として好きじゃなかったよ。
バカにしたような顔で笑ってきた。
あの人、“私”のことをバカにしたような顔で笑ってきた。」



少しだけ泣きそうになって、慌てて下を向いた。



「9年ぶりなのかな?
9年ぶりに会ったけど、“私”に気付かなかった。
“私”のことを忘れてた。
欠けた前歯を昨日見せたのに、それでも思い出してくれなかった。」
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