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「妙子、こんなに朝早くから・・・?」



お母さんが眠そうな顔でリビングに降りてきた。
時計を見ると5時半。
拳とは6時に道場で待ち合わせをしている。



「8時にはまた帰ってくる!!」



そう言ってから空手着を着て白帯の帯を締めた。
私はまだ白帯だった。
私だけでなく拳も。



松居先生は私にも拳にもテストを受けさせてくれない。
私は喧嘩したいし、拳は空手の帯の色にこだわっていないからだと思う。



「妙子・・・髪の毛、せめて美容室で短く切ろう?」



お母さんが素早く私におにぎりを1つ渡してそう言った。



それを食べながらお母さんに笑い掛ける。



「こんな猿みたいな頭に美容室とか必要ないでしょ!!
行ってきます!!」



あれから私は髪の毛を自分で切っていた。
ハサミでテキトーに。
3センチくらいの長さで、テキトーに。



強くなりたいから。



拳との喧嘩にも勝ちたいし・・・。



同級生の男子達にも勝ちたいから・・・。



そこに女はいらない・・・。



そこに女は少しもいらない・・・。



強くなる為に・・・。



ただ、強くなる為だけに・・・。



間違っているものを間違っていると言って・・・



守る為に戦う私を攻撃してくる奴らをぶっ飛ばす為に・・・。



私は強くなりたい・・・。



私は、強くなりたい・・・。
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