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それには小さく微笑みながら笑った。
「全然可愛くないですから。」
そう言った私に拳が爽やかな笑顔で笑った。
こんなに爽やかな笑顔は見たことがなくて。
拳ではないのだと思った。
拳はいなくなったらしい。
東京の大学に進学出来ていたら近所に住んでいるはずなのに、偶然にも会えなくておかしいなと思っていた。
その理由が分かった。
やっと、分かった。
拳はいなくなったらしい。
“妙”を知っている拳はいなくなったらしい。
“妙”に気付ける拳はいなくなったらしい。
“妙”を覚えている拳はいなくなったらしい。
“妙”が大好きな“拳”はいなくなったらしい。
それはそうだ。
それはそうだった。
拳にはめちゃくちゃ美人な彼女がいて。
あんな猿みたいな生き物のことなんて、そんなに大した存在ではなかったはずで。
“大親友”だったけど・・・
“妙”と“拳”は“大親友”だったけど・・・。
その“大親友”から拳は暴言を吐かれた最後だった・・・。
最悪な最後だった・・・。
“妙”だと気付かないのか、“妙”を忘れたのか・・・。
でも、分かった・・・。
拳にとっては・・・
この人にとっては・・・
そのくらいだった・・・。
“妙”は、そのくらいだった・・・。
めちゃくちゃ美人な彼女に会いに来たついでくらいの、そのくらいだった・・・。
無意識に握り締めた両手・・・。
この拳(こぶし)はもう拳にぶつけられることはない・・・。
空手を辞めた無力な拳(こぶし)。
お互いに空手を辞めて、ぶつけ合わせることはなくなった無力な拳(こぶし)。
もう・・・
この想いを込めることはない・・・
無力なだけの、小さな小さな拳・・・。
──────────
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「全然可愛くないですから。」
そう言った私に拳が爽やかな笑顔で笑った。
こんなに爽やかな笑顔は見たことがなくて。
拳ではないのだと思った。
拳はいなくなったらしい。
東京の大学に進学出来ていたら近所に住んでいるはずなのに、偶然にも会えなくておかしいなと思っていた。
その理由が分かった。
やっと、分かった。
拳はいなくなったらしい。
“妙”を知っている拳はいなくなったらしい。
“妙”に気付ける拳はいなくなったらしい。
“妙”を覚えている拳はいなくなったらしい。
“妙”が大好きな“拳”はいなくなったらしい。
それはそうだ。
それはそうだった。
拳にはめちゃくちゃ美人な彼女がいて。
あんな猿みたいな生き物のことなんて、そんなに大した存在ではなかったはずで。
“大親友”だったけど・・・
“妙”と“拳”は“大親友”だったけど・・・。
その“大親友”から拳は暴言を吐かれた最後だった・・・。
最悪な最後だった・・・。
“妙”だと気付かないのか、“妙”を忘れたのか・・・。
でも、分かった・・・。
拳にとっては・・・
この人にとっては・・・
そのくらいだった・・・。
“妙”は、そのくらいだった・・・。
めちゃくちゃ美人な彼女に会いに来たついでくらいの、そのくらいだった・・・。
無意識に握り締めた両手・・・。
この拳(こぶし)はもう拳にぶつけられることはない・・・。
空手を辞めた無力な拳(こぶし)。
お互いに空手を辞めて、ぶつけ合わせることはなくなった無力な拳(こぶし)。
もう・・・
この想いを込めることはない・・・
無力なだけの、小さな小さな拳・・・。
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