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拳と2人、道場の中で向かい合う。
でも私は道場の隅に立ち、拳は出入口の所から動かない。
松居先生は、「俺はじじいだからもう寝る」と言って杖をついて帰ってしまった。
2人しかいない道場でお互いに身動きを取らずに向かい合う。
拳の様子に動きはないけど・・・
動きがなさすぎたので、私から動いた。
「黒帯になったんだ?」
「うん・・・。」
「何段?」
「4段・・・。」
「・・・私より上じゃん!!!」
それは勝てなかったはずで。
元々勝てなかったけど、私はブランクもあったうえに拳は4段で。
そんなの勝てるわけがなかった。
「最近も道場に来てたの?」
「加賀製薬に派遣されてからは来てない・・・。」
「その前までは来てたの?」
「うん・・・。」
「私と仲直りする為に?」
私がそう聞くと拳が無言になり・・・
私から視線を逸らした。
「まあ・・・うん。
途中からはもう会えないんだろうなと諦めてたけど。」
「諦めるの早~・・・」
「俺は弱いからね・・・。」
「喧嘩はめちゃくちゃ強いのにね。
空手も口も、めちゃくちゃ強いのにね。」
私が少し笑いながらそう言っても、拳はピクリとも動かなかった。
そして・・・
視線を逸らしたまま・・・
「もう連絡しなくて大丈夫って松居先生に伝えてなかったから。
だから連絡してくれたみたいだね。
“明日来い”って言われただけだから来たけど・・・」
言葉を切った後、拳が私のことを少しも見ずに横を向いた。
「また空手始めるなら俺はここに来ないから。
じゃあ・・・また明日会社で。」
でも私は道場の隅に立ち、拳は出入口の所から動かない。
松居先生は、「俺はじじいだからもう寝る」と言って杖をついて帰ってしまった。
2人しかいない道場でお互いに身動きを取らずに向かい合う。
拳の様子に動きはないけど・・・
動きがなさすぎたので、私から動いた。
「黒帯になったんだ?」
「うん・・・。」
「何段?」
「4段・・・。」
「・・・私より上じゃん!!!」
それは勝てなかったはずで。
元々勝てなかったけど、私はブランクもあったうえに拳は4段で。
そんなの勝てるわけがなかった。
「最近も道場に来てたの?」
「加賀製薬に派遣されてからは来てない・・・。」
「その前までは来てたの?」
「うん・・・。」
「私と仲直りする為に?」
私がそう聞くと拳が無言になり・・・
私から視線を逸らした。
「まあ・・・うん。
途中からはもう会えないんだろうなと諦めてたけど。」
「諦めるの早~・・・」
「俺は弱いからね・・・。」
「喧嘩はめちゃくちゃ強いのにね。
空手も口も、めちゃくちゃ強いのにね。」
私が少し笑いながらそう言っても、拳はピクリとも動かなかった。
そして・・・
視線を逸らしたまま・・・
「もう連絡しなくて大丈夫って松居先生に伝えてなかったから。
だから連絡してくれたみたいだね。
“明日来い”って言われただけだから来たけど・・・」
言葉を切った後、拳が私のことを少しも見ずに横を向いた。
「また空手始めるなら俺はここに来ないから。
じゃあ・・・また明日会社で。」
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