36 / 395
3
3-8
しおりを挟む
「スイートルーム・・・」
エレベーターに乗り着いた先には驚いた。
だって、この高級ホテルのスイートルームだったから。
それには驚くし、申し訳ない気持ちがどんどん膨らんでいく。
きっとカラフルに輝いているはずのスイートルームは灰色にしか見えない。
私には灰色にしか見えない。
震えてきた両手を胸の前で握りスイートルームの部屋を呆然と眺めていると、私を後ろから譲がソッと抱き締めてきた。
そして、握りしめていた私の手を大きな両手がゆっくりと包み、その手を開かせながら私の頬にキスをしてくる。
2人きりの時は絶対にキスをしない譲が。
頬にだけどキスをしてくれる。
それに泣きそうなり、私は目を閉じた。
涙が流れてしまわないように・・・。
絶対に、涙が流れてしまわないように・・・。
「誕生日、おめでとう。」
初めて譲から言われるその言葉を聞き、私は小さく微笑みながらゆっくりと目を開いた。
そしたら・・・
そしたら・・・
見えた・・・。
譲に優しく握られていた手・・・
その左手に・・・
その左手の薬指に・・・
大きな大きなダイヤの指輪がはめられているのが、見えた・・・。
きっと信じられないくらいに輝いているはずのその指輪・・・。
その指輪・・・。
でも、それは灰色に見えて・・・。
私には灰色に見えてしまって・・・。
「俺と結婚しよう。」
.
エレベーターに乗り着いた先には驚いた。
だって、この高級ホテルのスイートルームだったから。
それには驚くし、申し訳ない気持ちがどんどん膨らんでいく。
きっとカラフルに輝いているはずのスイートルームは灰色にしか見えない。
私には灰色にしか見えない。
震えてきた両手を胸の前で握りスイートルームの部屋を呆然と眺めていると、私を後ろから譲がソッと抱き締めてきた。
そして、握りしめていた私の手を大きな両手がゆっくりと包み、その手を開かせながら私の頬にキスをしてくる。
2人きりの時は絶対にキスをしない譲が。
頬にだけどキスをしてくれる。
それに泣きそうなり、私は目を閉じた。
涙が流れてしまわないように・・・。
絶対に、涙が流れてしまわないように・・・。
「誕生日、おめでとう。」
初めて譲から言われるその言葉を聞き、私は小さく微笑みながらゆっくりと目を開いた。
そしたら・・・
そしたら・・・
見えた・・・。
譲に優しく握られていた手・・・
その左手に・・・
その左手の薬指に・・・
大きな大きなダイヤの指輪がはめられているのが、見えた・・・。
きっと信じられないくらいに輝いているはずのその指輪・・・。
その指輪・・・。
でも、それは灰色に見えて・・・。
私には灰色に見えてしまって・・・。
「俺と結婚しよう。」
.
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる