【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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放課後



翔子と2人並んで家庭教師の先生から勉強を教えられる。
でも、これは学校の勉強ではない。
学校の勉強は学校でだけで足りるようにしておくのが当たり前なので、私も翔子も家では宿題しかしない。



放課後に毎日毎日勉強をしているのは、永家ホールディングスが行っている仕事のことについて。
それはただ聞くだけの勉強ではなく、これまでの実例が出され私と翔子の考えを話させ討論をさせることもある。
そして、その時に永家ではどう対応していったのかも教えられる。



最近は永家のことだけではなく、この世界の色々なことを教えられるようになってきた。



「先生、お酒って美味しいの?」



翔子が興味津々な様子で先生に聞いている。
週に1度しか来られない男性の先生。
この先生の授業が翔子は1番好きだった。



今日はお酒についての勉強だった。
何を教えるかは先生達は各々任されているようで、お酒好きな先生は今日お酒についての様々なことを教えてくれた。



「美味しいな、俺は毎日晩酌してる!」



「私も飲んでみた~い!
ペロッて舐めるだけでも!!」



「ダメダメ、そんなことをしたって会長に知られたら俺の首は一瞬で飛ぶ!!」



「先生達ってみんな座学ばっかりだし、こんなんじゃ勉強って言わないでしょ。」



「良い意見だな、翔子。
俺も全く同じことを思ってる。」



「じゃあ、次は外に出て勉強ね!」



「ダメダメ、そんなことをしたって会長に知られたら俺の首は一瞬で飛ぶ!!」



「いいじゃん、首くらい。
私が大人になったら先生の首をつけてあげるから!」



「そうか!それじゃあもっと勉強しないとな!!
いつ俺の首が飛ぶか分からないから、その時は頼んだぞ!!」



先生は楽しそうに笑いながら翔子を見ている。
その目はとても輝いているように見える。
この先生は、翔子を見る時にいつもこんな目をする。



この時、いつも思い知らされる。
翔子は私とは違う。
翔子はいつもスニーカーを履いている。
だからどこにだって翔ていける。
ドレスを着ている私のことを置いて、どこにだって翔ていける。



この家に帰ると必ず着させられる真っ白なドレス、それを今日も握り締めた。



そしたら・・・



翔子が私のことを抱き締めてきた。



「結子のことも私が大人になったらどうにかしてみせる。
そのドレスを脱ぎたいなら私が脱がせてあげる。
それくらいの力を私が絶対につける。
だから待ってて、楽しみにして待ってて。」



「うん、待ってる・・・。」



女の子として生まれてきた翔子がそこまでの力をつけることを永家の“家”が許すことはないだろうけど、私はそう答えた。



翔子を抱き締めながら私は泣いた。



翔子の代わりに、泣いた。
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