【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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「“ゆきのうえ商店街”の子達、全員?」



「うん、全員がいる。
増田君の幼馴染み達が全員、あの偏差値が高い高校にいる。
あの商店街は“駿と雪”を中心に終わらなかった。
子どもだからこそ出来る戦い方で、終わらせなかった。」



「どうやって戦った・・・?」



「今私が通っている高校の生徒達を呼び込んだらしい。」



「高校の生徒を?」



「小学校2年生だったあの子達が、必死になって配っていたチラシ。
高校の前でもそれをやって先生達に怒られたみたい。
そしたら、生徒数人が先生達に聞いたみたい。
“何故いけないんですか”って。
“駅前の百貨店の影響で商店街の顧客が流れているのは明白ですよね。
そこの子ども達が出来ることをやっているのにそれを止める理由は何なのか教えて下さい”って。」



「勉強が出来る奴ってそういうことを言い出すんだよな!」



お父さんが大笑いしながら頷いている。



「それからは先生達も来てくれるようになって、あの高校の生徒達も一緒になって商店街を変えていってくれた。
あの高校の生徒達が通える商店街に。」



「子どもだからこそ出来る戦い方か・・・。
大人には抵抗出来ない力でも、子どもには通用しないことがあるからな。
もう1つの財閥の力は子ども達には通用しなかった。」



「うん、予想外だったはず。
こんなことになるのは予想外だったはず。
向こうも焦っている。
全く違う方向に進んでいて、焦っている。」



「子どもを甘く見たな。
子どもには無限の力が秘められている。」



お父さんの言葉に私は深く頷き、言った。



「お買い得だよ、お父さん。
商店街を中心にもう1つの財閥が土地を売れないようにしてる。
それも恐らく広範囲を。
商店街だけではなく、あの辺り一帯を全く違う街にしたかったはず。」



「その“ゆきのうえ商店街”もあるからな、これからその街はもっと栄える。
“駿と雪”がもっと大人になって栄えさせる。」



「2人には弟と妹もいた。
2人で仲良く店番をしてたよ、麒麟の店で。
あの2人が窓口にもなってるはず。
何も疑われない、例えどんなに偉い人があの店に来ても、何も疑われない。」



「“ゆきのうえ商店街”か・・・。
凄い子ども達を生んで育てたな。」



お父さんが満足そうにそう言って、“駿と雪”の純米酒を持ち上げた。



「試飲してみたか?」



そう聞かれてしまって・・・



「ごめんなさい・・・。」



私がすぐに謝るとお父さんは大笑いをした。



「翔子!舐めるだけ舐めてみろ!!
今日だけは許す!!」




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