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「あの子、見える?
店の前の商品を見てる制服の女の子。」
増田君にそう聞かれ少しだけ視線を動かしてみたけれど、電柱でよく見えない。
それでも・・・
「うん・・・。」
それだけ答えた。
それだけ答えた。
“私もずっと好きだったんだよ”
心の中でそう伝え、「うん」とだけ答えた。
私への言葉ではなかった。
私への愛の言葉ではなかった。
私への愛の囁きではなかった。
その事実に小さく笑いながら、昔もこんなことがあったなと小さく笑いながら、強く握ってしまった右手を離そうとした。
そしたら、増田君が私の右手をまた優しく握り直してきた。
そして、さっきよりも少しだけ強く抱き締められる。
「あの子がいなくなるまで、もう少し。」
そう言って電柱の陰に2人で隠れ続けた・・・。
ずっといてくれればいいのに・・・。
そしたらずっと増田君と隠れ続けていられるのに・・・。
こうやって、ずっと隠れ続けていられるのに・・・。
“雪枝”のように増田君の背中に手を回すことは出来ないけれど、その代わりに私の背中に手を回してくれた増田君の大きくなった手を感じながら、目を閉じた。
自分の為の涙は流さないように。
そんな余計な涙は流さないように。
店の前の商品を見てる制服の女の子。」
増田君にそう聞かれ少しだけ視線を動かしてみたけれど、電柱でよく見えない。
それでも・・・
「うん・・・。」
それだけ答えた。
それだけ答えた。
“私もずっと好きだったんだよ”
心の中でそう伝え、「うん」とだけ答えた。
私への言葉ではなかった。
私への愛の言葉ではなかった。
私への愛の囁きではなかった。
その事実に小さく笑いながら、昔もこんなことがあったなと小さく笑いながら、強く握ってしまった右手を離そうとした。
そしたら、増田君が私の右手をまた優しく握り直してきた。
そして、さっきよりも少しだけ強く抱き締められる。
「あの子がいなくなるまで、もう少し。」
そう言って電柱の陰に2人で隠れ続けた・・・。
ずっといてくれればいいのに・・・。
そしたらずっと増田君と隠れ続けていられるのに・・・。
こうやって、ずっと隠れ続けていられるのに・・・。
“雪枝”のように増田君の背中に手を回すことは出来ないけれど、その代わりに私の背中に手を回してくれた増田君の大きくなった手を感じながら、目を閉じた。
自分の為の涙は流さないように。
そんな余計な涙は流さないように。
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