【完】好き好き大好きの嘘

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13-9

26歳になる年、春



「僕がですか？」



永家不動産の社長に呼ばれ社長室のソファー席に腰掛けるよう促された後、驚く話をされた。



「ああ、永家財閥の本家の長女とお見合いをして欲しい。」



翔子さんから聞いていた話を思い出す。
婚約者がいなくなってしまったというその女の人。
社内でその話は回っていなかったけれど、その女の人にはまだ婚約者がいることになっている。
翔子さんの双子のお姉さんだという話も有名な話だった。



「訳があって新しい婚約者を探している。
お見合いなんていう堅苦しいものでもなく、2人で会ってみて欲しい。
会うだけでも会ってみて欲しい。」



「少し考えさせていただけますか？」



心の中で苦笑いをしながら社長にそう答えた。