【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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駿は普通の顔をしながらも俺の顔を見返してくる。
俺も駿の真似をしながら普通に笑ってみせた。



この言葉だけで駿なら気付いてくれる、分かってくれる。
こいつはそういう男だった。



大人達がよく言う“商店街1器用な男”である駿に託す。



「俺はこの前の日曜日に父さんと母さんから初めて聞いて、増田財閥の本家の主に会ってきた。
親戚の他の子ども達もいてさ、そいつら綺麗な格好をしてたけど“ゆきのうえ商店街”の俺の幼馴染み達の方が絶対に強い。」



俺を見詰め続ける駿に伝える。



「“ゆきのうえ商店街”は絶対に終わらない。
この商店街の子ども達の中心には“駿と雪”がいつだっている。
俺の最強である幼馴染みの2人が。」



俺がそう言い終わった瞬間・・・



「ねぇ~!!今日の放課後に巨大なモンスターに自分達から食べられに行こう!!
敵のお腹の中にこっちから入りに行く!!」



俺の最強の幼馴染みであるもう1人、雪枝がそう声を挙げ幼馴染み達に召集をかけた。



その声を聞きながら俺は駿を見詰め続ける。



「“ゆきのうえ商店街”は絶対に終わらない。
例えどんな敵が相手だろうと、いつだって“駿と雪”が中心にいる。」



駅前の永家財閥の土地に建った大きなデパート。
その影響で“ゆきのうえ商店街”にはお客さんが来なくなっている。
商店街の大人達は子ども達にそう伝えていた。



それも原因の1つではあるけれど、それだけではない。



商店街の“麒麟”と呼ばれる雪枝のお父さんでも太刀打ち出来ない相手がいる。
他のお店に資金の援助を続けながら“時期”を見るしかないと言っているらしい。



この前初めて聞いた父さんと母さんの様々な言葉を思い出しながら駿に伝える。



放課後に“巨大なモンスター”のお腹の中に入りに行く幼馴染み達のことを考えながら・・・。



「子どもだから出来ることが必ずある。
終わらせるな、駿。
“ゆきのうえ商店街”はこんなことで終わるような商店街にならないように、駿のお父さんが会長になった時に“ゆきのうえ商店街”という名前に変えた。」



商店街の人間なら誰もが知っていることを言う。



「「例えどこが道かも分からない雪の上でも、守りたいモノをおぶってでも、歩いていける。」」



俺の言葉と駿の言葉が重なった。
お互いに深く頷く。



「どんなに迷ったとしても“ゆきのうえ商店街”には雪枝の家という道標がある。
雪枝のお母さんはいつだってリビングの明かりをつけてカーテンを開けておくからな。
だから必ずお客さんも戻ってこられる。」



「そうだね、道標があれば必ず戻ってこられるね。
必ず、戻ってこられる。」



駿の言葉に俺は深く頷く。



必ず戻る。



俺は“ゆきのうえ商店街”に必ず戻る。



そう強く思いながら、俺は残りの時間は幼馴染み達と距離を置くことにした。
この怒りの感情をこの胸に留めておけるように。
この怒りの感情だけを胸に前へ歩くために。
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