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「増田は可哀想な奴じゃねーから、泣くな。」
和がそう言うと、この子は下を向いたまま頷き涙を拭いた。
でも、それでも涙は止まらないようで・・・。
翔子がこの子の背中を擦っていて、この子は下を向いたまま泣き続けてしまっていた。
そしたら、和が・・・
「前を向いてろ、結子。
下なんか向いてたら何も見えなくなるからな。
どんなに苦しくても痛くても悔しくても、泣く時でも必ず前を向いてろ。」
そんなことを言った。
自分が弱者だと分かっているこの子に・・・
弱者以外何者でもないと自分で言っていたこの子に・・・
そう言っていて・・・。
和の正義は凄く好きだけど、たまにこういう正義もある奴で。
それで嫌われるどころか誰からも好かれる奴ではあるけれど、一応俺はすぐに対応するようにしていた。
でも、ここまで泣いている理由が俺のことだと思うと俺が変に何かを言うのも気が引けて。
どうするかなと思っていたら、この子がゆっくりだけど顔を上げた。
流れてきた涙も鼻水も嗚咽もそのままに、顔を上げて目の前にいる俺を見てきた。
そしたら、見えた・・・。
この子の向こう側に、あの日の“ゆきのうえ商店街”が広がっていた・・・。
色鮮やかな雪だるまが輝く“ゆきのうえ商店街”が、広がっていた・・・。
でもそこにあるのは幼馴染み達の笑顔ではなく、俺が“ゆきのうえ商店街”を去る時に見た幼馴染み達のぐじゃぐじゃな泣き顔だった。
そんな泣き顔の幼馴染み達の顔の中、そこにこの子の泣き顔も混ざっている。
和の向こう側にも見える不思議な光景。
でもこの子の向こう側に見えるのは笑顔ではなく泣き顔の幼馴染み達の顔。
ハッキリと見える幼馴染み達の泣き顔を見ながら、俺は言った。
「そういう泣き方、久しぶりに見た。」
.
和がそう言うと、この子は下を向いたまま頷き涙を拭いた。
でも、それでも涙は止まらないようで・・・。
翔子がこの子の背中を擦っていて、この子は下を向いたまま泣き続けてしまっていた。
そしたら、和が・・・
「前を向いてろ、結子。
下なんか向いてたら何も見えなくなるからな。
どんなに苦しくても痛くても悔しくても、泣く時でも必ず前を向いてろ。」
そんなことを言った。
自分が弱者だと分かっているこの子に・・・
弱者以外何者でもないと自分で言っていたこの子に・・・
そう言っていて・・・。
和の正義は凄く好きだけど、たまにこういう正義もある奴で。
それで嫌われるどころか誰からも好かれる奴ではあるけれど、一応俺はすぐに対応するようにしていた。
でも、ここまで泣いている理由が俺のことだと思うと俺が変に何かを言うのも気が引けて。
どうするかなと思っていたら、この子がゆっくりだけど顔を上げた。
流れてきた涙も鼻水も嗚咽もそのままに、顔を上げて目の前にいる俺を見てきた。
そしたら、見えた・・・。
この子の向こう側に、あの日の“ゆきのうえ商店街”が広がっていた・・・。
色鮮やかな雪だるまが輝く“ゆきのうえ商店街”が、広がっていた・・・。
でもそこにあるのは幼馴染み達の笑顔ではなく、俺が“ゆきのうえ商店街”を去る時に見た幼馴染み達のぐじゃぐじゃな泣き顔だった。
そんな泣き顔の幼馴染み達の顔の中、そこにこの子の泣き顔も混ざっている。
和の向こう側にも見える不思議な光景。
でもこの子の向こう側に見えるのは笑顔ではなく泣き顔の幼馴染み達の顔。
ハッキリと見える幼馴染み達の泣き顔を見ながら、俺は言った。
「そういう泣き方、久しぶりに見た。」
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