【完】好き好き大好きの嘘

19

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和がよく結子に言う言葉を俺も言った。
前を向いていないと何も見えないから。
どんな“力”を持っていたとしても、前を向いていないと使うタイミングも使う相手も見えないから。



“強くなれ、結子。”



その願いを込めて俺は伝える。



「俺達はまだ高校生だからさ。」



「うん・・・。」



「でも、俺は男でさ。」



「うん・・・。」



「それも、頑固な男でさ。」



「翔子もそう言ってた・・・。」



増田の本家に生まれたのは俺と元気という2人の男。
それも2人とも頑固な男。
守りたいと思ったモノを守り幸せにしたいと思ったモノを幸せにしてみせる、その為に上にいく頑固な男。



まだ高校生だけど、幸い俺も元気も男に生まれた。
それだけで増田の奴らは喜んだだろうし、それだけで俺も元気もあいつらに脅威を与えることも出来る。



「ドレスを着てるのは好き？」



女の子として永家の本家の長女として生まれ落ちた結子に聞いた。
だからこんな風な育てられ方をされている結子に。