【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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それには苦笑いで・・・。
股関を抑えながらもこの“とんでもない子”を見上げた。



「そんなことまで分かるんですか?」



「うん、分かる、私は猿だから。
・・・猿だった、からね。」



何故か過去形に言い直した“猿”を見上げながら俺は冷や汗を流しながらも笑った。



「僕はまだ大学1年なもので、好きな女の子を目の前にするとダメですね。」



「それに結子も増田のことが大好きみたいだしね。」



「それは嬉しい限りです。
ちゃんと永家の“家”から結子を奪った後にそういうことはしますので。」



やっと立てそうになったので立ち上がると、“猿”が満足そうな顔で俺のことを見てきた。



「そこじゃないでしょ、ソレを使う時は。」



そんなことを言って・・・



「倒れたなら起き上がればいい。
泥だらけになってでも起き上がれた時、倒れる前よりも強くなってる。
でも守られてばかりいたら倒れることが出来ない。
真っ白なドレスを汚すことなんて出来ない。」



“猿”がそう言って、空手の構えをした。



その全身に闘志を燃やし俺を真っ直ぐと見てくる。
空手着ではなく可愛く少し着崩した制服姿で。



それなのに・・・



まるで泥だらけの空手着を着ているように見えてきてしまう。



和からそう聞いていたからかもしれないけれど、そう見えてきてしまう。



“猿”のその言葉を聞いて、和よりも詳しく聞いているのか、それか自ら気付いたのだと分かる。



永家の“家”が何をしようとしていて、和とこの“猿”に何を求めているのかを。



それを俺が分かったことにも気付いたのか、“猿”がまた満足そうに笑った。



「結子が倒れそうになかった時、結子を倒す為に最終手段でソレを使えばいい。」
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