【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

文字の大きさ
21 / 241
2

2-7

しおりを挟む
「ただいま~!理子ー!!!」



しばらく編集をしていたら、お母さんの声が玄関から聞こえた。
そして、ノックもなく私の部屋のドアを開けてきて・・・



「私の後輩に、オバサンとか言わない!!!」



と、めちゃくちゃ怒った顔で私の部屋に入ってきた。



そんなお母さんをチラッと見てから、私はまたパソコンの方を向く。



「ババアって言わなかっただけ、褒めてよ。」



「“ババア”だけは言わないでって小さな頃からお願いした甲斐があったね!
・・・じゃなくて、誰にでも噛み付かない!!
あの子は凄く良い子だし、オバサンでもないし、理子が噛み付く所あった?」



「私のお兄ちゃんと並んで歩いてた!!」



「・・・なるほどですね。
もう二度と並んで歩かないよう、私から伝えておきます。
並んで歩かず、1メートルは距離を取るのはいかがでしょうか?」



そう言われ、少し考えて・・・



「それならいいよ。」



そう答えたら・・・



私の頭にポンッと手を置いてきた。



「ピンク色の鮫ちゃんは、今日も誰かに噛み付きましたか?」



「・・・大学でも少し。
あとは・・・昨日だけど、会社でオバサン達に噛み付いた。
だって、お兄ちゃんとのことで余計なお世話なこと言ってきたから。」



「明日もバイトでしょ?
ちゃんと話してくるんだよ?」



「うん・・・。」



そう答えてから、泣いた・・・。



そんな私の頭を、お母さんはポンポンッと強めに叩いてきて・・・。



「現実世界は厳しいよね~!!
分かるよ~!お母さんもそうだから、分かるよ~!!
ほんっとに厳しいんだよ!!
でも・・・まだ生きてるからね!!
生きてる限りは、どうにかしてこの厳しい世界で生き延びよう!!」



「うん・・・。
私はただの鮫じゃなくて、ピンク色の鮫だから・・・。
だから・・・他の魚とは生きていけなくても仕方ないの・・・。
普通の鮫とも生きていけないくても仕方ないの・・・。」



小さな頃からお母さんに言われている言葉を自分でも言う。



「でも、まだ生きてるから・・・。
珍しいピンク色の鮫を悪い誰かに捕まえられてしまわないように、波を荒立てないで泳ぐの・・・。」



「そうだね。
そうすれば悪い誰かに見付からない。
捕まえられて、痛め付けられない。
でも・・・」



お母さんが言葉を切った・・・。



そして・・・



「「守る為には、戦う。」」



お母さんと言葉が重なり、お母さんを見上げた。
お母さんは優しいだけではなく、強く惹き付けてくるような笑顔で私を見下ろす。



「ピンク色の鮫を普通の鮫にしようとしてくる奴なら、噛み付いてでもピンク色を守っておいで。」



そう、今日も言ってくれて・・・



泣いた・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

無表情いとこの隠れた欲望

春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。 小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。 緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。 それから雪哉の態度が変わり――。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...