【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

文字の大きさ
132 / 241
8

8-23

しおりを挟む
理子がそう言うと、お兄ちゃんは凄く驚いた顔をしていた。



「それ・・・でも、“お母さん”の特別な、呼び方・・・。」



「そうだよ?
理子のことを1番可愛いと思ってる時に呼んでくれてた呼び方。」



「それを・・・僕が・・・?」



お兄ちゃんが驚きながらそう言ってきて、理子は大きく頷く。



「だって理子、お兄ちゃんのことが1番大好きになったから。」



「・・・ぇ・・・」



お兄ちゃんの口から小さな声が漏れ、理子はニヤニヤしてしまった。



「だって、ピンク色の鮫を見付けてくれたのはお兄ちゃんだもん!!
この広い現実の世界で、お兄ちゃんが理子を見付けてくれたの!!」



そう言ってから、理子はカメラを下に下ろした。



そして・・・



「・・・ゎっ」



お兄ちゃんに、抱き付いた・・・。



「理子のことを見付けてくれてありがとう!!
理子、お兄ちゃんのことが大好き!!
1番大好き!!!大大大好き!!!」



大好きや大大好きは、家族といる時によく感じる。



でも、お兄ちゃんのことはそれ以上で・・・



大大大好きだと、思った・・・。



お父さんは理子が産まれる前に死んじゃった。



お母さんは理子が3歳の時に死んじゃった。



お父さんの記憶はないし、お母さんのことも何も覚えていない。



とにかく、理子は小さかったから何も覚えてはいなくて。



なんとなく覚えているのは、幼稚園に入ってからだと思う。



理子はいつも何かに怒っていた。



いつも何かにイライラしていた。



いつも何かを不安に思っていた。



いつも何かを怖いと思っていた。



早く死んで、お父さんとお母さんに会いたいとも思っていた。



いつも誰かに怒られているような理子と会って、お父さんとお母さんは喜んでくれるかは分からないけど・・・。



皆から嫌われているような理子を見て、お父さんとお母さんは理子を好きになってくれるかは分からないけど・・・。



でも、理子はお父さんとお母さんに会いたかった・・・。



会って、抱き締めて貰いたかった・・・。



会って、強く強く、抱き締めたかった・・・。



そう望んでいた理子は・・・



今は、“生きていたい”と・・・



“生き延びていたい”と・・・



強く、強く、思っている・・・。



ピンク色の鮫として・・・



生きて、生き延びる・・・。



お母さんが見付けられるように・・・。



天国にいるお母さんが、理子を見てすぐに理子だと分かるように・・・。



だからもう、たまに何かに怒って・・・



たまに何かにイライラして・・・



たまに何かに不安に思って・・・



たまに何かに怖くなるだけ・・・。



「お兄ちゃんが、大大大好き・・・。」



お兄ちゃんを強く抱き締めて甘噛みした理子に、お兄ちゃんも理子のことを少し強く抱き締めてくれた・・・。



「りーちゃん・・・」



“りーちゃん”と小さく呟いたお兄ちゃんの声が、理子の身体に甘く噛み付いた・・・。



甘く、甘く・・・



噛み付いて、この身体から離れなくなった・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

処理中です...