【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

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真理姉やお兄ちゃんからも驚いている雰囲気は感じるけれど、2人とも声は出していなくて。
こういう時、声を荒らげるのは私とお兄ちゃんだけ・・・。
鮫島家の2人だけ・・・。



今日はお兄ちゃんがいないので、私がお兄ちゃんの分まで声を荒らげる。



「事実婚にするってこと！？」



「事実婚もするかよ。
俺が愛してるのは昔も今も嫁さんだけに決まってるだろ。」



「それなのに長年お母さんのこと騙してたの！？
入籍どころか事実婚どころか、愛してもなかったってこと！？」



「・・・まあ、人としては好きだけど女としてどうこうなわけねーだろ。」



「最っっ悪！！！！
渡(わたる)はお母さんだけの渡だと思って、私の家族の中にはまだ入れないようにしてたのに！！」



「なんだよ、それ？」



渡が笑いながら理子のことを見ていて、その顔を見て私は怒りに震えてくる。



「お母さんのこと、どうするつもりなの！？
お母さんだって本当は再婚するつもりだったんじゃないの！？」



私がそう声を荒らげると、お母さんが小さく笑った。



そして・・・



「最近、お母さんも色んな人から“再婚再婚”言われるんだよね。
この歳で成人した2人の子どもがいるから、前の旦那の連れ子だと勘違いされて。
でも、お母さんは、光一と理子のお母さんだから・・・。
光一と理子のお母さんとして、この厳しい現実世界を生き延びることに決めてるの。」



お母さんが最後は少し悲しそうにそう言った。