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そんなお母さんを見詰めながら、私は口を開いた。
泣きながら、口を開いた・・・。



「私のせいだ・・・。
私が、お母さんの・・・桃子の人生を奪ったせいだ・・・。」



いつか言われたお兄ちゃんからの言葉を呟いた。
そんな私に、お母さんは優しく笑う。



「それは違うよ、理子。
理子がそう望んでくれたから、私はこの現実世界で“お母さん”っていうものになれた。
これがなかったら、私は・・・どんな顔をして生きていればいいのか分からなかったよ。」



お母さんがそう言いながら・・・目に少しだけ涙を溜めた・・・。



そのお母さんの顔を見ながら、思う・・・。



今は“桃子”なのだと、思う・・・。



それでも、私は口を開いた・・・。



そして、甘く噛み付いた・・・。



「お母さん・・・大好き・・・。」



「お母さんも、理子のことが大好き・・・。
お母さんの可愛い可愛い・・・マジで可愛すぎる、客観的に見ても可愛すぎる娘・・・!!!」



目に涙を溜めながら、最後は力強くそう言われ・・・私は笑ってしまった・・・。



笑ってしまったけど・・・



笑ってしまったけど・・・



「それじゃあ理子、お兄ちゃんと本当の兄妹になれないじゃん!!!」



1番大切なことに気付いた。



お母さんと渡が結婚をしたら、そこにみんな入れて貰えるのだとばかり思っていた。



これでみんなが本当の家族になれるのだと、そうずっと望んでいた。



「理子と豊はもう本当の家族でしょ?
うちらは結婚しないけど、岩渕家とは本当の家族だと思いながらお母さんは暮らしてたよ?」
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