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私の言葉にカルベルが少し顔を上げた。
「うん、顔上げて。」
ゆっくりと顔を上げたカルベルを見下ろし、やっぱりインソルドに置いてきたソソのことを思い出す。
「兄弟はいるの?」
「いえ、僕1人です。」
「そうなんだ。
私には弟がいたんだ。
血の繋がらない弟が。
この命に代えてまで守らなければいけない弟が。」
そう言いながら両手で胸の真ん中をおさえた。
「この命に代えてまで1度は守ることが出来た弟。
今のカルベルと同じ10歳だった弟を私はこの命に代えてまで守った。」
「格好良いですね・・・。
父は強い人だったらしいですけど、僕は弱いから・・・。
だからこうしてコックの見習いしか出来ません・・・。
こんなに可愛くて細い女の人がそんなことまで出来るのに、僕は男なのにそういう強さはなくて・・・。」
「10歳なのにこんな場所でそんな目で働けてるカルベルは強い男だと思うよ。
良いお父さんとお母さんなんだろうね。」
「産みの親は分かりませんが、育ての親は良い両親です。」
「うん、私も・・・。
私は産みの親も強い強い親で、養子として受け入れてくれたチチも強い強い男だったらしい。」
過去形で話したからかカルベルが少しだけ不安そうな顔をした。
その顔に笑い掛けながら続ける。
「出会った時に足が1本失くなってたから、どれだけ強かったのか話だけしか聞いたことがないから。」
マフィオス家の当主であるキールスは2代前の“チチ”だった。
“チチ”とは村で1番強い男のことを指す。
片足を失くしたキールスの次に“チチ”となったのは私の実の父親。
そして、1年前に魔獣の大群が押し寄せてきた際、174体の魔獣を倒した私がインソルドの“カカ”となった。
“チチ”は172体しか倒すことが出来なかったから。
私の姿を見ても、マフィオス家の長女、そして聖女となったカルティーヌだと分からないカルベルに優しく笑いながら伝える。
「私のことはルルって呼んで?
公爵の娘なんだけど、皇太子妃になる為にここに来たの。」
マフィオス家の階級は伯爵。
でも私はもっと上の階級である公爵と言った。
「ああ、第2皇太子、ナンフリーク殿下の皇太子妃候補の方ですね。
沢山の貴族の女性が集められていますから。
それで・・・あ、申し訳ありません、何でもありません。」
「なに?気になる、教えてよ。」
私がそう言うとカルベルは気まずそうな顔で小さく口を開いた。
公爵の娘である私からそう言われたら断る術がカルベルにはないからだと分かる。
「ナンフリーク殿下は毎夜その貴族の女性達とお戯れになられていると噂になっています・・・。」
「そうなんだ?」
「ルル公爵令嬢はお相手になられていないないんですか!?」
カルベルが嬉しそうな顔で聞いてくるので、これには申し訳ない気持ちもなりながら頷く。
「うん、ナンフリーク殿下とは性行為してないよ。」
「そうなんですね!!
沢山の女性が集まっていますからまだ気付かれていないのかもしれませんね!!
身体の相性も大切といって、毎夜毎夜違う女性を部屋に入れるそうです!!」
「とんでもない男だね、ナンフリーク。」
私の言葉にカルベルは大きく頷き、それから“しまった”という顔をした。
そんな可愛い男の子の表情には大きく笑いながら自分の口の前で人差し指を立てた。
「2人だけの・・・ケロルドも入れたら3人か、3人だけの秘密ね?」
私がそう言うとカルベルは顔を真っ赤にして笑いながら、自分の口の前に人差し指を立てながら頷いていた。
「うん、顔上げて。」
ゆっくりと顔を上げたカルベルを見下ろし、やっぱりインソルドに置いてきたソソのことを思い出す。
「兄弟はいるの?」
「いえ、僕1人です。」
「そうなんだ。
私には弟がいたんだ。
血の繋がらない弟が。
この命に代えてまで守らなければいけない弟が。」
そう言いながら両手で胸の真ん中をおさえた。
「この命に代えてまで1度は守ることが出来た弟。
今のカルベルと同じ10歳だった弟を私はこの命に代えてまで守った。」
「格好良いですね・・・。
父は強い人だったらしいですけど、僕は弱いから・・・。
だからこうしてコックの見習いしか出来ません・・・。
こんなに可愛くて細い女の人がそんなことまで出来るのに、僕は男なのにそういう強さはなくて・・・。」
「10歳なのにこんな場所でそんな目で働けてるカルベルは強い男だと思うよ。
良いお父さんとお母さんなんだろうね。」
「産みの親は分かりませんが、育ての親は良い両親です。」
「うん、私も・・・。
私は産みの親も強い強い親で、養子として受け入れてくれたチチも強い強い男だったらしい。」
過去形で話したからかカルベルが少しだけ不安そうな顔をした。
その顔に笑い掛けながら続ける。
「出会った時に足が1本失くなってたから、どれだけ強かったのか話だけしか聞いたことがないから。」
マフィオス家の当主であるキールスは2代前の“チチ”だった。
“チチ”とは村で1番強い男のことを指す。
片足を失くしたキールスの次に“チチ”となったのは私の実の父親。
そして、1年前に魔獣の大群が押し寄せてきた際、174体の魔獣を倒した私がインソルドの“カカ”となった。
“チチ”は172体しか倒すことが出来なかったから。
私の姿を見ても、マフィオス家の長女、そして聖女となったカルティーヌだと分からないカルベルに優しく笑いながら伝える。
「私のことはルルって呼んで?
公爵の娘なんだけど、皇太子妃になる為にここに来たの。」
マフィオス家の階級は伯爵。
でも私はもっと上の階級である公爵と言った。
「ああ、第2皇太子、ナンフリーク殿下の皇太子妃候補の方ですね。
沢山の貴族の女性が集められていますから。
それで・・・あ、申し訳ありません、何でもありません。」
「なに?気になる、教えてよ。」
私がそう言うとカルベルは気まずそうな顔で小さく口を開いた。
公爵の娘である私からそう言われたら断る術がカルベルにはないからだと分かる。
「ナンフリーク殿下は毎夜その貴族の女性達とお戯れになられていると噂になっています・・・。」
「そうなんだ?」
「ルル公爵令嬢はお相手になられていないないんですか!?」
カルベルが嬉しそうな顔で聞いてくるので、これには申し訳ない気持ちもなりながら頷く。
「うん、ナンフリーク殿下とは性行為してないよ。」
「そうなんですね!!
沢山の女性が集まっていますからまだ気付かれていないのかもしれませんね!!
身体の相性も大切といって、毎夜毎夜違う女性を部屋に入れるそうです!!」
「とんでもない男だね、ナンフリーク。」
私の言葉にカルベルは大きく頷き、それから“しまった”という顔をした。
そんな可愛い男の子の表情には大きく笑いながら自分の口の前で人差し指を立てた。
「2人だけの・・・ケロルドも入れたら3人か、3人だけの秘密ね?」
私がそう言うとカルベルは顔を真っ赤にして笑いながら、自分の口の前に人差し指を立てながら頷いていた。
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