【完】可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる

Bu-cha

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「うん、いいよ。」



“いいよ”と返事をしながら、ルルは小さく笑いながら俺から目を逸らしてしまった。
ここまで伝えたのは初めてなのに、やっぱり良くない反応をされてしまった。



それには苦しくなってきて、自分が握っているルルの真っ白な髪の毛の束を見下ろす。



「俺はまた10だけど、本気で伝えてる。
ルル以外は見えない。
俺はルル以外は見えないんだ。」



苦しくなる胸を感じながらも伝え、もう1度ルルを見詰める。
ルルは照れた顔も困った顔もしていなくて、真剣な顔で俺のことを見詰めている。



「10歳か・・・。」



ルルがそう呟き、それには急いで口を開こうとした。
開こうとしたけれど、俺よりも先にルルが口を開いた。



「ソソが16になるまであと6年。
今は姉とか母として私のことを好きでいてくれてると思うけど、ソソが16歳、17歳、18歳、それ以上・・・。
もっともっと大人になった時、きっと私の他に好きな女が出来る。」



そんな話をルルから初めて言われ、それには反論しようとして口を大きく開いた。
開こうとしたら、また俺よりも先にルルが口を開いた。



「そう思ってたけど、物凄く本気の目をしてた。
魔獣と戦う時や訓練の時とは違う、凄く凄く力強い目をしてた。」



「それはそうなるよ。俺は本気。
俺は物心がついた頃からルル以外見えてなかったし、今もルル以外見えてないし、これからもルル以外見えることはない。
好きとか大好きとか・・・愛してる?とかそういう言葉より何よりも、俺はルル以外見えない。」



凍えるように寒い冬の夕方、焚き火はあるけれど上半身は裸。
それなのに身体中がこんなにも熱くなっていく。



自分の熱を感じながら、ルルの真っ白な髪の毛の束を無意識に強く握り締めながら、ルルのことを見詰める。



ルルのことを見詰める・・・。



沈んでいく真っ赤になった太陽を背中にしているルルの姿を・・・。



褐色の裸、大人の女ほど太くなりきれていないけれどしっかりとした身体、村にいるどの女よりも強い心を持っているのが顔からでも分かる。



そして、俺とは正反対のような真っ白な髪の毛。



その真っ白な髪の毛は夕焼けの赤で染まっていく。



なのに・・・



なのに・・・



ルルはこんなにも眩しく光っている・・・。



思わず目を瞑りそうになるほど、何故か俺にはルルがこんなにも眩しく光って見える・・・。



ルル以外は見えない・・・。



眩しく光っている女は、ルル以外は見えない・・・。



魔獣には本能があるらしい。
魔獣持ちだからか俺にも本能があるのかもしれないと思わせる。



俺の相手はこの女なのだと、本能が俺に知らせているのだと思わせる。



「俺が16になるまで待ってて。
必ず花を渡して求婚するから。
他の男からの花は受け取らないで待ってて。」
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