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翌日
「顔色が優れませんね。」
騎士団の訓練を終えた後、たまたますれ違ったミランダが声を掛けてきた。
今日も眩しく光っているミランダを見てルルのことを思い出してしまい、慌てて両手を強く握り締めた。
「聖女様はどのような様子ですか?」
「毎日ほぼ寝ることもせず皇太子妃教育を受けていらっしゃいます。
インソルドでは文字の読み書きも教育していないとは驚きました。」
「そんなことをしている時間があるのなら魔獣を倒す為の訓練をしますからね。
アデルの砦の騎士団しか文字の読み書きは出来ませんし必要ありませんから。」
「そうですか・・・。」
険しい顔をしているミランダを見下ろしながら、聞いた。
「聖女様の皇太子妃教育には、その・・・」
「はい?」
「その・・・子作りのこともありますか?
聖女様は俺と子作りすることも分かっているんですか?」
「子作りの教育もしましたので、聖女様も分かっておられます。
23歳なのに驚くほど何も知らない女性でしたので、あちらも内容には驚いていましたけど私も驚きました。」
「そうですか・・・っ」
ミランダが頭を抱えながら困っていて、そんな姿は初めて見たので思わず笑ってしまった。
笑ってしまった俺のことを少しだけ優しい顔で見上げてきたミランダが、ゆっくりと口を開いてきた。
「誰にも文句を言われないような貴族の女性に教育しますので、安心して子作りをしてくださればと思います。」
ミランダからのその言葉に今度は俺が頭を抱えた。
「俺は聖女様と子作りをするつもりはなくて・・・。
俺には好きな女の子がいて・・・。
聖女様と子作りをしたらその女の子とは結婚することが出来なくなるから・・・俺は、聖女様と子作りをしたくありません・・・。」
ルルのように眩しく光るミランダにそう伝える。
インソルドでは結婚する相手か結婚した相手以外の人間に、そういう意味で指1本触れてはいけない。
聖女と結婚したとしても、聖女にそういう意味で指1本触れずにいたら、ルルなら許してくれると思う。
この結婚をルルなら許してくれると思う。
そう思いながら、眩しく光るミランダを見下ろしていると・・・
「心だけはその女の子にあげればいい。」
ミランダが力強い目で俺のことを見上げてきた。
ミランダはたまにこんなにも力強い目をしてくる。
「心だけはその女の子にあげて、身体だけは聖女様に渡せばいい。」
そんな・・・
そんなことを言われ・・・
「国の為に最善を尽くしてください。」
ミランダからそう言われてしまった。
俺自身の為ではなく国の為にと・・・
そう言われてしまった・・・。
その言葉で、こんなにも腐り果てたような王宮が支配する、地獄のような世界で生きる民の姿が浮かんできた。
それを思い浮かべながら、眩しく光るミランダに聞く。
ルルと同じくらい輝く、太陽のようなミランダに聞く。
「心は必ずあげるから、俺と結婚してくれる・・・?
俺が渡した花を受け取ってくれる・・・?」
この目から少しだけ涙が流れてきた中、聞いた。
ミランダは少し驚いた顔をした後、面白そうに笑った。
「その言葉、私の夫にも言われたことがある。
身体は国に渡した人だったから。」
ミランダがそう言って力強く俺のことを見上げ、両手で自分の胸をおさえた。
そして、言った。
「聖女様もインソルドを発つ前夜に2人だけで結婚式を挙げた相手がいたそうです。
その相手と心だけは結ばれることが出来たと言っていました。
だから聖女様も可哀想な女性ではありませんからね。
2人で国の為に子作りもしてください。」
「顔色が優れませんね。」
騎士団の訓練を終えた後、たまたますれ違ったミランダが声を掛けてきた。
今日も眩しく光っているミランダを見てルルのことを思い出してしまい、慌てて両手を強く握り締めた。
「聖女様はどのような様子ですか?」
「毎日ほぼ寝ることもせず皇太子妃教育を受けていらっしゃいます。
インソルドでは文字の読み書きも教育していないとは驚きました。」
「そんなことをしている時間があるのなら魔獣を倒す為の訓練をしますからね。
アデルの砦の騎士団しか文字の読み書きは出来ませんし必要ありませんから。」
「そうですか・・・。」
険しい顔をしているミランダを見下ろしながら、聞いた。
「聖女様の皇太子妃教育には、その・・・」
「はい?」
「その・・・子作りのこともありますか?
聖女様は俺と子作りすることも分かっているんですか?」
「子作りの教育もしましたので、聖女様も分かっておられます。
23歳なのに驚くほど何も知らない女性でしたので、あちらも内容には驚いていましたけど私も驚きました。」
「そうですか・・・っ」
ミランダが頭を抱えながら困っていて、そんな姿は初めて見たので思わず笑ってしまった。
笑ってしまった俺のことを少しだけ優しい顔で見上げてきたミランダが、ゆっくりと口を開いてきた。
「誰にも文句を言われないような貴族の女性に教育しますので、安心して子作りをしてくださればと思います。」
ミランダからのその言葉に今度は俺が頭を抱えた。
「俺は聖女様と子作りをするつもりはなくて・・・。
俺には好きな女の子がいて・・・。
聖女様と子作りをしたらその女の子とは結婚することが出来なくなるから・・・俺は、聖女様と子作りをしたくありません・・・。」
ルルのように眩しく光るミランダにそう伝える。
インソルドでは結婚する相手か結婚した相手以外の人間に、そういう意味で指1本触れてはいけない。
聖女と結婚したとしても、聖女にそういう意味で指1本触れずにいたら、ルルなら許してくれると思う。
この結婚をルルなら許してくれると思う。
そう思いながら、眩しく光るミランダを見下ろしていると・・・
「心だけはその女の子にあげればいい。」
ミランダが力強い目で俺のことを見上げてきた。
ミランダはたまにこんなにも力強い目をしてくる。
「心だけはその女の子にあげて、身体だけは聖女様に渡せばいい。」
そんな・・・
そんなことを言われ・・・
「国の為に最善を尽くしてください。」
ミランダからそう言われてしまった。
俺自身の為ではなく国の為にと・・・
そう言われてしまった・・・。
その言葉で、こんなにも腐り果てたような王宮が支配する、地獄のような世界で生きる民の姿が浮かんできた。
それを思い浮かべながら、眩しく光るミランダに聞く。
ルルと同じくらい輝く、太陽のようなミランダに聞く。
「心は必ずあげるから、俺と結婚してくれる・・・?
俺が渡した花を受け取ってくれる・・・?」
この目から少しだけ涙が流れてきた中、聞いた。
ミランダは少し驚いた顔をした後、面白そうに笑った。
「その言葉、私の夫にも言われたことがある。
身体は国に渡した人だったから。」
ミランダがそう言って力強く俺のことを見上げ、両手で自分の胸をおさえた。
そして、言った。
「聖女様もインソルドを発つ前夜に2人だけで結婚式を挙げた相手がいたそうです。
その相手と心だけは結ばれることが出来たと言っていました。
だから聖女様も可哀想な女性ではありませんからね。
2人で国の為に子作りもしてください。」
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