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なんだよ、それ・・・
あんなに理性を吹っ飛ばすスイッチになる言葉が、今はただ悲しかった・・・
ゆっくりとベッドから立ち上がり、スーツを素早く着ていく。
「もしも・・・」
さっき続けたかった、覚悟の気持ちだけは、伝える・・・
ベッドで俯いたままの、この子の頭の上からでも・・・
「もしも、“何か”あったら、教えて。
必ず、教えて・・・。」
力を込めて、気持ちを、覚悟を込めて、伝えた・・・。
なのに・・・
「分かりました・・・。」
俯きながら、そう返事をしたこの子の言葉は・・・
何も、入っていなかった・・・
それが、とても腹立たしかった・・・
なのに、離れたいと思うどころか・・・
ベッドで俯くこの子を優しく抱き締める。
「また、会おう。」
恐る恐る顔を上げたこの子・・・
「いつもの・・・あの喫茶店で、待ってて。」
この子の綺麗な目から、甘い涙が、次々と流れてきた・・・
「必ず、会いに行くから。」
泣きながら何度も頷くこの子・・・
「そしたら、今度はデートしよう。」
強く抱き締めた俺を、この子も抱き締め返す。
「必ず迎えに行くから、待ってて。」
この子が、最高に可愛い顔で俺を見上げる。
そんなこの子を、俺も見下ろす。
1輪だとしても、誰もがその花に気付き、誰もがその花に見惚れ、心奪われる、薔薇の花・・・
でも刺がないから、すぐに誰かに切り取られてしまう・・・
はずなのに・・・
刺がないはずの薔薇が誰にも切り取られず、1輪でも咲き誇っている・・・。
一度目にしたら二度と目が離せなくなってしまうくらいの、強い赤・・・
そんな真っ赤な薔薇の花・・・
俺の直感が煩いくらい叫んでいる・・・
絶対に、離してはダメだと・・・
離して、たまるものかと・・・
俺は、蕾から咲いたばかりの薔薇の花に、また優しく唇を重ねた・・・。
あんなに理性を吹っ飛ばすスイッチになる言葉が、今はただ悲しかった・・・
ゆっくりとベッドから立ち上がり、スーツを素早く着ていく。
「もしも・・・」
さっき続けたかった、覚悟の気持ちだけは、伝える・・・
ベッドで俯いたままの、この子の頭の上からでも・・・
「もしも、“何か”あったら、教えて。
必ず、教えて・・・。」
力を込めて、気持ちを、覚悟を込めて、伝えた・・・。
なのに・・・
「分かりました・・・。」
俯きながら、そう返事をしたこの子の言葉は・・・
何も、入っていなかった・・・
それが、とても腹立たしかった・・・
なのに、離れたいと思うどころか・・・
ベッドで俯くこの子を優しく抱き締める。
「また、会おう。」
恐る恐る顔を上げたこの子・・・
「いつもの・・・あの喫茶店で、待ってて。」
この子の綺麗な目から、甘い涙が、次々と流れてきた・・・
「必ず、会いに行くから。」
泣きながら何度も頷くこの子・・・
「そしたら、今度はデートしよう。」
強く抱き締めた俺を、この子も抱き締め返す。
「必ず迎えに行くから、待ってて。」
この子が、最高に可愛い顔で俺を見上げる。
そんなこの子を、俺も見下ろす。
1輪だとしても、誰もがその花に気付き、誰もがその花に見惚れ、心奪われる、薔薇の花・・・
でも刺がないから、すぐに誰かに切り取られてしまう・・・
はずなのに・・・
刺がないはずの薔薇が誰にも切り取られず、1輪でも咲き誇っている・・・。
一度目にしたら二度と目が離せなくなってしまうくらいの、強い赤・・・
そんな真っ赤な薔薇の花・・・
俺の直感が煩いくらい叫んでいる・・・
絶対に、離してはダメだと・・・
離して、たまるものかと・・・
俺は、蕾から咲いたばかりの薔薇の花に、また優しく唇を重ねた・・・。
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