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2人の言葉で、食堂が嫌な空気で静かになる。
静かになり、多くの視線を感じる。



そんな中、またレイラが口を開く。



その顔を私は見詰める。



気を引き締めながら、見詰める。



「てか、2人ともお弁当箱の中身一緒じゃないですか!?」



「・・・え、本当だ!!え!?」



「32歳のシングル子持ちの黒住さん、本当に尊敬です~!!
すっっっごくモテるし、どうしたらそんなにモテるのか私にも教えてくださいよ~!!」



レイラがそう言ったのを見てから、私は口を開いた。
口を開こうとした・・・



そしたら、いつの間にか3人の男性社員が近付いてきていて・・・。



「君達さ、まだ若いから分からないかもしれないけど、黒住さん凄く魅力的だからね?」



「しかも、前の旦那さんの連れ子でもなかったんでしょ?
育ててた子ども達って。
今凄い話題になってるけど。」



「前の旦那さんの子どもだったとしても、高校生だった黒住さんが育ててたなんて凄いことだと思うよ。」



「俺が入社した時、黒住さんの方が年下だったけど凄い仕事も出来て、なのに謙虚で包容力もあって、魅力しかなかったからね?」



そんなことを男性社員達が言い始めてしまい、それには苦笑いしかない。
ここで私に気に入られようと思っているのか何なのか・・・。
そう思わずにはいられないくらいで・・・。



そう思っていると、1人の男性社員が私の方を見てきた。



「黒住さん、こんなに若い子を選んだのか・・・。
黒住さんって面倒見凄く良いから、年下の方が良かったのかな。
残念だけど、おめでとう。」



その男性社員に続き、他の男性社員からも“おめでとう”なんて言われてしまい・・・。
更に、食堂にいる人達も“おめでとうございます!”なんて言い出して・・・。



私はそれに笑いなら立ち上がる。



みんなからの先手を全て受けた後に、口を開いた。



大きく息を吸って、口を開いた。



目の前に座る悪ガキを指差しながら、口を開いた。



「これ、私の息子。
この子が小学校2年生の時から、私はこの子の“お母さん”。」



そう、口を開き・・・



目の前に座る悪ガキを見下ろした。



“守る”なんて言ったのに一切何も言わず、満足そうに笑っている悪ガキを見下ろし口を開いた。



「光一も何か言いなさいよ、この悪ガキのマザコン男が!!」



そう言って光一に叫ぶと、光一は大笑いをしていた・・・。
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