【完】死神にウェディングドレスを

Bu-cha

文字の大きさ
219 / 293
15

15-12

しおりを挟む
そんなオチには小さく笑っていると、ノートパソコンの中の母ちゃんがお茶を飲んだ。
きっと中身はルイボスティーだろうお茶を飲んだ。



それから、また言葉を出した。



『“かぞく”が1番なのは私も分かる。』



そんな母ちゃんの言葉は、何故だかスッと俺の心に、精神に入ってくる。



『“彼氏”なんていう不安定な存在より、“かぞく”が1番強く繋がっていられると思うのは私も分かる。』



ノートパソコンの中の豊も頷く。
それと同じタイミングで俺も頷く。



『理子は“お兄ちゃん”と“妹”で結婚がしたいの。
“かぞく”は理子にとって特別だから。
彼氏なんかよりもずっと特別だから。』



母ちゃんの言葉に、俺は苦しくなってきた胸をおさえた。
入ったからだと思う。
母ちゃんの苦しみも、俺の胸に入ってきたからだと思う。



そしたら、ノートパソコンの中の豊が・・・



『それは、桃子さんにとっても・・・?』



こういう切り込みをする豊を、俺は初めて見た。
それには驚いていると・・・
リビングにセットしてある理子のカメラを少し確認した豊の目は、鋭く光っていた。



『“他の男”よりも、“かぞく”が1番?
特別に好き?』



力強い声で聞いた豊に、ノートパソコンからでも全員が驚いた様子になったのが分かる。



『豊・・・?』



真理姉が初めて声を発するくらい、驚いたらしい。



『桃子さんに“本当の家族”はいない。
1人もいない。
いるのは、血も繋がっていない、戸籍上も無関係“かぞく”だけ。』



『・・・そうだね。』



『桃子さんは逃げてるの?
りーちゃんが言う通り、恋愛するのを逃げてるの?』



豊のそんな切り込みに、母ちゃんは困ったように笑っていて・・・



『逃げるもなにも、私には“お母さん”の顔しかないからね。
この世界で生き延びるのに、“お母さん”の顔しかないから。
“お母さん”の顔を理子と光一が与えてくれたの。
“お母さん”の顔がなければ、私はどんな顔をして生きていけばいいのか分からない。』



『それは、“お母さん”以外の顔を貰えれば恋愛出来る可能性があるってことだよね?』



そう聞いた豊に、母ちゃんは困った顔で首を横に振った。



『私は恋愛なんてしないよ。
光一と桃子が幸せになるのを見守るのが“お母さん”の役目だから。』



『でも、桃子さんが恋愛をしないと得られない幸せもあるから。』



豊がリビングにセットしてあるカメラを手に持ったのが分かる。
そして・・・そのカメラを渡の方に向けた。



『お父さん、お母さん以外の人を好きにならないんだよね?』



そう聞いた豊に、渡は物凄く驚いた顔をしていて・・・。
目も口も大きく開けて、アホみたいな顔をしながら何度も頷いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...