【完】死神にウェディングドレスを

Bu-cha

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朝から騒然としている中、人事部の部屋でデスクの中身をまとめていく。
この前光一が片付けてくれたばかりのデスクの中身を、また段ボールに入れていく。



私なりに綺麗に、入れていく・・・。



そしたら、その時・・・。



「手伝いますよ。」



と、佐竹部長が手伝い始めてくれた。
それには申し訳ない気持ちになり、首を横に振る。



「申し訳ないです・・・。」



「差し出された手は、余程嫌ではない限り掴んでみてもいいと思うけどね、僕は。
そうしなければ、やっていけないこともあるからね。」



佐竹部長が優しい声でそう言ってくれ、テキパキと私のデスクの中身を段ボールに入れていってくれる。



「企画部からこっちに来る時は、若い子達がやってくれたんだってね?」



「それは・・・はい、おっしゃる通りです。」



「社内で会う度に何かと言われていたよ。
黒住さんの部下達に、黒住さんの得意不得意、どんな性格が、どんな食べ物が好きで何が食べられないか。
そして、お酒は止めないように。
唯一心から幸せそうにしている時間だから。」



佐竹部長の言葉に、私だけが手を止める。



「見ていたのかな、お酒を呑んでぼんやりと。
結ばれない人の顔を、ぼんやりと見てたのかな?」



そう聞かれ、私は素直に頷いた。



「真っ赤な顔をして、私が聞きたかった言葉を言ってくれている姿が見えて・・・。
いつも不思議と、そんな姿が見えて・・・。
この現実世界では会えないのに・・・。
会えるはずがないのに・・・。
不思議と、お酒を呑んだ時だけは会えて・・・。」



「そうか・・・。
もう現実世界でも会えるだろうから、お酒をあまり呑むのは止めようね。」



「はい・・・。
佐竹部長は呑むんですか?お酒。」



小さく聞いた私に、佐竹部長は穏やかに笑った。



「昔ね、浴びるように呑んでたよ。
今の奥さんが彼女だった時、浴びるように。
でも、結婚すると決めてからはそんなに呑んでいないよ。
それで奥さんを何度も傷付けたことがあるからね。」



「こんなに素敵な男性なのに、選ばれないこともあるんですね・・・。」



「フラれ続けたくらいで、お酒と他の女の子から差し出された手を掴んでしまった弱い男だったからね、僕は。
それは選ばれないよ。
強い男が好きらしいからね、その人は。
凄く強い人が、好きらしいからね。」



誰とは聞かずに、私は微笑みながら頷いた。
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