その恋、チロが全力で応援します。

5

1月



「もしもし？」



電話に出ると、スマホの向こう側からは守の低い声がいつも以上に低く聞こえてきた。



『今からそっち行っていい？』



そう聞かれ、それには慌てた。



「今はお客さんが来てるから、ごめんね？」



『客・・・？
じゃあそいつが帰ったら行く。』



「今日は無理で。」



『今日”も“、だろ？
遅くてもいいよ。
そいつが帰ったら連絡して。』



「今日はここにお泊りしていくから、今日は無理なの。」



『・・・・・あっそ。』



守のそんな返事が聞こえ、それには苦しくなったけれど・・・



ワンルームの部屋、キッチンのすぐそこのベッドに横になっているお客様、仕事の案件の対象者である加藤　望(かとう　のぞみ)さんのことを考え、小声でもう1度「ごめんね」と謝った。



そしたら・・・



『今チロの家のすぐ近くまで来てる。
俺らの実家の最寄り駅を通り越してわざわざこっちまで来たから、少し顔見せろよ。』



花音ちゃんのように可愛い顔をした女の子が大好きな守が、こんな顔の私に"顔を見せろ”と言ってきた。