unseen hero 〜魔法が使えない異能者と魔術師の戦いに目の見えない魔術師が戦いに終止符を打つ話。

雷出午吉

文字の大きさ
2 / 9
第一章 運命

第一話 対峙

しおりを挟む
この世界は、二つに分断されている状況下にある。
1つ目はここ、魔術師のみが暮らしている国。
ソーサーズ。
2つ目はここから離れたところにある。
ケイパブル。
そこは国というよりも「組織」という表現の方が正しいのかもしれない。
ケイパブルには魔術師がいない。
全員が能力を持った異能力者であり、能力一つで戦う。
異能力者はかなり強く、簡単な魔法では太刀打ち出来ないだろう。
その組織は反社会勢力の者が多く、ソーサーズを毛嫌いする輩で集まっている。
その為、国同士の境目は勿論のこと。
一見平和そうな場所ですら戦いが勃発することがある。
・・・私はというと、まぁ言わなくてももうじき分かるだろう。
何せ、私は怨みを持っているからね。

                         ※※※

「あぁ~あ、情報が少なすぎるよぉ~」
私は、この近辺に敵がいることを耳にしたため、探索をしていた。
敵は、そう・・・ケイパブルだ。
数刻前。
ここらでケイパブルの襲撃があったらしい。
言われた通り、ここには能力値の痕跡が微量に残っている。
わざわざ痕跡を残すだなんて、それほど余裕がなかったのか?
それか、別の目的が?
考えても無駄だろう。
取り敢えずは痕跡を辿って追跡をするだけ。
この先を歩いていくと、何時しかたどり着くだろう。
そう思い、痕跡を辿って歩いていく。
少し歩いた先は、やけに静かな場所だった。
襲撃が要因なのだろうか?
疑問に思った時だった。
「・・・お前は、ソーサーズの差金か?」
「・・・ん?」
眼前にはケイパブルの連中とおそらく襲撃の主犯であろう人物がいた。
そこで、私は瞬時に察した。
そこまで強くない能力値。
「君は・・・下っ端かな?」
「確かに俺は下っ端だが、舐めない方が身のためだぜ?最近は俺らケイパブルの質も上がってきているんだ。」
「・・・それは良い情報だね。」
「あんたみたいに目が見えないやつなんかに・・・俺は負けねぇんだよ。」
「どうだかねぇ。無理だと思うけど。」
「その生意気な口を黙らせてもらうぜ!」
その言葉を発した瞬間、奴は瞬く間に距離を詰める。
恐らく身体強化の異能だろう。
異能力者の異能は、基本的に私たちが使う中級魔法と同等かそれ以上。
人によっては、上級魔法を超える場合があるらしい。
私は、この相手の異能力を中級程度だと感じた瞬間。
相手は思い切り振りかぶって、打拳を私の顔面目掛けて放ってくる。
「遅い。」
私は顔を右に傾け、打拳を回避する。
「何!?」
そのまま相手の腕を両手で掴み、自身に強化魔法をかけて背負い投げを繰り出す。
相手は自身の攻撃をかわされたことに脳が追いついていなかったのか、何の抵抗もせずに地面に打ちつけられる。
「カハッ」
相手は呼吸器官にかなりの衝撃を伴ったせいか、苦しそうに顔を歪ませて咳き込んでいる。
私はそんなことお構いなしに、相手に声をかける。
「君は前提を間違えている。」
相手は「は?」と、心の底からの疑問を私にぶつける。
私は言葉を紡ぎ続ける。
「一つ目は、私は君より強いということ。調子に乗っていたのかな?出端を挫かれて可哀想だね。」
相手は悔しそうに歯軋りをする。
そして、私は相手にこう言い放つ。
「二つ目は、君は目が見えてないと言ったけど。私は・・・しっかりと『見えている』よ。」
「・・・!?」

       ※※※
「・・・」
地面にみっともなく倒れた下っ端。
・・・既に息を引き取っている。
まぁ、バラバラにされたから呼吸の有無とかいう以前の問題だろう。
私をお手頃な魔術師と勘違いしたのだろう。
随分と舐めた態度を取ってきたし。
相手の力量を図ろうともせずに。
もしかしたら、私から逃れてたかもしれないというのに。
勿体無いったらありゃしない。
私は、この場から去ろうとする。
まだまだケイパブルの連中の気配がするからだ。
私は連中の気配がする方へと足を運ぼうとする。
「あの、貴方ってウォーロックの方ですか!?」
突然、路地裏に隠れていたのか。
1人の女性がこちらにそう問いかけてくる。
「・・・」
ウォーロックとは、魔術師の中でも高ランク帯の者たちのことを指す。
人並外れた魔力、さまざまな魔法を使用出来る汎用性。
簡単な話、戦闘面での能力が高い者達がそのウォーロックに分類されるのだ。
私も、一応そのウォーロックに分類される。
「そうだけど、何か用があるのかな?」
「え、えっとぉ・・・その・・・!ソーサーズの方が救助に来てくれたのかと思って・・・!」
目の前の女性はそのように言ってきた。
「まぁ・・・結果的にはそうなるんだろうけど・・・一つだけ間違えているね。」
「・・・え?」
「私はソーサーズの者じゃない。」
「え・・・じゃ、じゃあ・・・貴方は・・・!?」
女性は他にも何か言いたげな感じだったが、言い寄られても面倒だった為、その場を立ち去ろうと歩を進めていく。
私に対して何か言っていたかもしれないが、私は先ほどの彼女の言葉には微塵も耳を傾けなかった為、何を言っていたのかは分からない。
まぁ大体想像つくけど。
私は次の目的地へと向かって行く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...