天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~

水鳴諒

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―― 天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~ ――

【005】スマホのアラーム

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 こうして土曜日が訪れた。待ち合わせは午後の二時半。
 お昼ご飯を食べてから、スミレはバスに乗った。
 そして待ち合わせのバス停で降りると、すでに龍樹は来ていた。

「ごめん、龍樹くん。待たせた?」
「いいや、時間通りだ。行こう」

 龍樹の言葉にうなずいて、深珠ロッジへと続く坂道をスミレは見上げる。
 深珠ロッジは二階建てで、昔は宿泊客を泊めていたらしい。

「天月。今から行けば、三時には中には入れる。四時には出ないと、俺たちがあぶない。だから四時の少し前になったらなるように、スマホにアラームをかけておくといい」
「う、うん。ねぇ、あぶないって、どういうことになるの?」
「心霊スポットにずっといると、かんたんに言えば具合が悪くなるんだ」
「具合が?」
「お化けの邪気にあてられる。そうすると人間は、頭痛がしたり肩こりから始まって、吐き気がしたりめまいがしたりして、最終的にはきぜつする。運が悪ければ死んでしまうこともある」

 スミレはぞくりとした。三年生の先ぱいのウワサを思い出し、きっと一時間以内に外に出られなかったのだろうなと考える。

「人形はどこにあるの?」
「前に回収した時は、二階の北の角の部屋にあった」
「その時は龍樹くんが御用人だったの?」
「いいや。この深珠ロッジの管理人に頼まれたんだ。今日も立ち入り許可をもらっている」

 そうだったのかと考えながら、スミレは見えてきた深珠ロッジに顔を向ける。
 まだ外は明るいけれど、カーテンが閉められているのがわかった。

「ここだ」

 龍樹の声で立ち止まったスミレは、目の前にある四角い建物を見上げる。

「カギもあずかってきた。人影を見るウワサがあるからということで、今はカーテンがしっかり閉じてあるそうだ」

 なっとくしながらスミレが見ていると、龍樹がドアのカギを開けた。
 すると中はひんやりとしていた。
 まだ外は残暑がきびしいというのに、ウソのように寒い。

「アラームはセットしたか?」
「今する」

 スミレは慌ててスマホを取り出す。そして時計を見ると、三時ちょうどだったので、四時ぴったりにアラームが鳴るようにセットした。

「できたよ」
「行こう」

 こうして二人で、深珠ロッジの中へと足をふみいれた。



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