26 / 28
第1章 〜奴隷編〜
26.前世
しおりを挟む
「信じるかは、君たちに任せるしかないが一応言っておこうと思ってね。だから、この世界の常識なんてものは全然知らない。」
二人とも呆然としている。私が言った言葉をぜんぜん咀嚼できていないようだ。まぁ、だろうなという感慨しか浮かばない。突然真剣に切り出してきたと思ったら、自分はこの世界の人間ではないんだなんていう、荒唐無稽なこと。まず、初めに頭がおかしいのかと疑うのが普通だろう。私なら即、精神科に放り込む。
…そもそも私でさえ、信じられない。記憶にそういうこと柄が残っているから言っているという不確かなものだ。そんなことを言い始めるとあの人との邂逅、というかあの人の存在自体未確定なものになる。
記憶とは、不安定なふわふわとしたもの。周りにいる人によって何となく証明されてるように感じているだけだ。
哲学者の一人であるデカルトは疑いようのない真実とは何んだろうか?そんなことを考え、突き詰めていって、周りにある、視覚として捉えている物さえ疑い始めた。そして、最後に疑いようがなく残ったのは考えている、疑っている自分の自意識ということだった。それが「我思う、故に我あり。」ということ。
それならば、確かに私自身の自意識は存在しているのだろうが五感をもってさえ存在を証明できない記憶という曖昧なものなんてなんてあるわけがない。人は自分の記憶でアイデンティティを確立しているようなものだ。それは他者との関わりにより、安心を得る。
異世界という非現実なことが実証された場合、周りに自分を知る人などいない。となると、私は何者であるのか?この論題は永遠に解かれることはないだろう。他者との繋がりから完全に切り離された自称異世界人の私は果たして「そうなのですか。」っ…
記憶の渦に飲み込まれた私の頭に突如湧いた他者の声に意識が声のする方に戻される。
さっき、発言したのは雪凪のようだ。自分で言ったことにより、現実感が帯び動揺したのか、、私は…
私が言ってからどのくらい経ったのだろうか?数分だろうか?もしかしたらほんの数秒しか経っていないかもしれない…
「些か信じがたいことですが。あなた様はどこか浮世離れしているご様子。勿論、疑念がないとは言えないのですが、何処か確信めいたものを感じますので。」雪凪は再び口を開き綺麗な顔でそう言った。人を安心させるような笑顔。私には、それが仮面をはりつけて作ったものにしか見えなくて体が冷たくなっていくように感じた。
そんな風にしか見えないのが嫌で、ここでもまた一人なのかと、落胆する自分も嫌で、…
そして、そんな自分が本当に私であるのかも分からないことに気づいた。
任せるなどという口先ばかりのことを言っておいて、その人が言った答えにさえ疑念を持つ。自分の浅ましさが顕著に現れたことに気付いたのをかわきりに、さっきまで考えていたことを思い出していく。
嗚呼、…きっとあれもあの人への贖罪から逃げたいなどという私の浅ましく、薄汚れたこころがその考えにすり替えたに違いない。
人の温もりを求めてしまう私は、どうしてもそれに縋り付くのだろう。
二人とも呆然としている。私が言った言葉をぜんぜん咀嚼できていないようだ。まぁ、だろうなという感慨しか浮かばない。突然真剣に切り出してきたと思ったら、自分はこの世界の人間ではないんだなんていう、荒唐無稽なこと。まず、初めに頭がおかしいのかと疑うのが普通だろう。私なら即、精神科に放り込む。
…そもそも私でさえ、信じられない。記憶にそういうこと柄が残っているから言っているという不確かなものだ。そんなことを言い始めるとあの人との邂逅、というかあの人の存在自体未確定なものになる。
記憶とは、不安定なふわふわとしたもの。周りにいる人によって何となく証明されてるように感じているだけだ。
哲学者の一人であるデカルトは疑いようのない真実とは何んだろうか?そんなことを考え、突き詰めていって、周りにある、視覚として捉えている物さえ疑い始めた。そして、最後に疑いようがなく残ったのは考えている、疑っている自分の自意識ということだった。それが「我思う、故に我あり。」ということ。
それならば、確かに私自身の自意識は存在しているのだろうが五感をもってさえ存在を証明できない記憶という曖昧なものなんてなんてあるわけがない。人は自分の記憶でアイデンティティを確立しているようなものだ。それは他者との関わりにより、安心を得る。
異世界という非現実なことが実証された場合、周りに自分を知る人などいない。となると、私は何者であるのか?この論題は永遠に解かれることはないだろう。他者との繋がりから完全に切り離された自称異世界人の私は果たして「そうなのですか。」っ…
記憶の渦に飲み込まれた私の頭に突如湧いた他者の声に意識が声のする方に戻される。
さっき、発言したのは雪凪のようだ。自分で言ったことにより、現実感が帯び動揺したのか、、私は…
私が言ってからどのくらい経ったのだろうか?数分だろうか?もしかしたらほんの数秒しか経っていないかもしれない…
「些か信じがたいことですが。あなた様はどこか浮世離れしているご様子。勿論、疑念がないとは言えないのですが、何処か確信めいたものを感じますので。」雪凪は再び口を開き綺麗な顔でそう言った。人を安心させるような笑顔。私には、それが仮面をはりつけて作ったものにしか見えなくて体が冷たくなっていくように感じた。
そんな風にしか見えないのが嫌で、ここでもまた一人なのかと、落胆する自分も嫌で、…
そして、そんな自分が本当に私であるのかも分からないことに気づいた。
任せるなどという口先ばかりのことを言っておいて、その人が言った答えにさえ疑念を持つ。自分の浅ましさが顕著に現れたことに気付いたのをかわきりに、さっきまで考えていたことを思い出していく。
嗚呼、…きっとあれもあの人への贖罪から逃げたいなどという私の浅ましく、薄汚れたこころがその考えにすり替えたに違いない。
人の温もりを求めてしまう私は、どうしてもそれに縋り付くのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる