君の見た色

Sora10gp

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混じりあった、その色は

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「じゃあ…何で
こんな物持ってるんですか!?」


彼女の手が
私に伸びる

私に出来た事と言えば
僅かに身体を捩る事だけ

ポケットの中で
握りしめすぎたパレットナイフを
離す機を完全に逸してしまった

振り払うか、逃げるか
選択が過るも

私の目は
彼女と合ってしまった



瞬間
何の選択肢も取れるはずもない

いや、本当に


「敵わないな…後輩には
今、私の色は何色…なんだ?」


それは
彼女がいつの日か

言っていた言葉


「人にも色がある
私には、それが見える」


という言葉から


何故か咄嗟にそんな問いが
口をついてしまった

全ては
露呈してしまった

「先輩…だったんですね…」

「あぁ…」
口から漏れる

全身に力は入らず
すぐ側の椅子は
偶然私の身体を受け止めた


「先輩の色は、普段と変わりませんよ…
いつもの曇りない銀色です
ただ…」


そういえば、
それもいつか
彼女が話していた気がする

その時、興味から
同じ色の人はいるの?

そう質問した私に
彼女は

「いえ、確かに似た色はいるかもしれませんが、
先輩の色と似た人は見たことありませんね」

と、それで
「天才なのかな?」

と、冗談めいた事を
話したっけ

そうしている内に
私の口は

「ただ…?」
と、聞き返していた

「嘘、つきましたよね…」

確かに、そうだ
野暮用なんていう言い訳で
本当は一刻も早く彼女から離れたかったんだ

私が何も言い返せずにいると

「その瞬間だけ、ほんの少しだけですけど
【揺らぐ】んです」

あぁ、
本当に彼女には
何も敵わないな

彼女は続ける

「私、薄々気付いてました…
先輩じゃないかって
でも…、信じられなかった…
いや、信じたくなかった…かな」

そう、私は
彼女を裏切った

応援する素振りを見せて

しかし、先輩面
くだらないプライドを
捨てられなかった

「だから、今日
私は絵を描く事にしました
それをここに置きっぱなしにして、帰るつもりでした」

「あぁ、そういう事だったのか…」

思った言葉から
全てが口に出てしまった

私は多分、いや…

「先輩、本当は
止めて欲しかったんじゃないですか…?」

止めて欲しかった
いや、自分の意思で止めるべきだった

「じゃなかったら
私に声かけるのはおかしいですから…」

「そう…かも、
しれないな…」


少なくとも
辞めるべきだったと


心では
ずっと

そう思っていた


でも、
最早、全てが遅すぎた

手遅れ
なんだ



「これで終わりだな…
私は取り返しのつかない事をしてしまった…」


そう言って
私が彼女の前を後にしようとした


その瞬間だった


「何が…何が終わりなんですか!?」

今まで聞いた事のない
見た事すらない

彼女の露になった感情が
私へと向けられる

「先輩が私を引きずり込んだんです!
責任とってくださいって言いましたよね!?」

それは、冗談のように
彼女が口にした言葉

彼女がこちらへ迫る

制裁は

勿論受けるつもりだ

私は静かに眼を閉じる

「終わりじゃないです!!
絵は自由だって
そう教えてくれましたよね!?」

彼女の手が伸びた先は
私の握ったパレットナイフだった

彼女はそれを
私の手から引ったくるように奪うと


彼女が何より大切にしていたであろう


【あの絵】に向き直り



「だったらーーー
これも絵です!!」



そう言ってナイフを思い切り突き立てて

カンバスを切り裂いた



無茶苦茶な行動だ

切り裂かれた絵は
無残ながら

どこか残響を残す



でもー

確かに
彼女のいう通りかもしれない



そこには
常識なんてない



本当に
「敵わないな…、後輩には」 




彼女の後ろ姿が
【あの日の姿】と重なった気がした






世界は
些細な事で
簡単に姿を変える


ほんの僅かな事で


色を取り戻せるんだ


創作は
痛くて苦しいもの



それでも
私は再び
筆を取りました




報いるために

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