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ロゼの事情
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────1────
「はーい、お待ちどうさまー。 海鮮パスタと焼飯、それとお酒とジュースになりまーす」
「お、来た来た」
テーブルに並べられた皿から美味しそうな香りが漂ってくる。
海鮮ならではの磯の香りと全体的に茶色い色合いが食欲を刺激され我慢出来なかった俺は、アルトとアナスタシアの料理を待たずにパスタを一口頬張った。
「ん、旨いな。 それにさっぱりしてる。 これなら幾らでも食べられそうだ」
イノシシ肉や果物も旨いが、たまにはこういう海鮮も悪くない。
今度あいつらも連れてきてやろう。
きっと喜ぶに違いない。
光景が目に浮かぶようだ。
「んぐんぐ」
「旨いか?」
「うん、美味しい」
こうして食事に一生懸命になっている姿を見ていると、ロゼも年相応だと思えてくる。
殺しに手を染める女の子とは到底思えない。
「…………ロゼ、前々から気になってたんだが……」
「あむ……んぐんぐ…………ごくん。 なに、ご主人」
「どうしてロゼは傭兵なんかやってるんだ? お前の腕なら他に幾らでも仕事があるだろ。 なのになんでわざわざ傭兵なんか……」
「………………」
流石に踏み込みすぎたか。
ロゼにだって人に言いたくない事の一つや二つ……。
「悪い、言いたくなかったら別に……」
「家族を……取り戻すために、お金必要だから。 お金を集めるのに傭兵が一番手っ取り早かったから。 だから傭兵やってる。 それだけ」
家族を取り戻す……?
それって……。
「まさかとは思うが、家族は奴隷に……」
「違う、奴隷じゃない」
およそ五十年前。
社会制度の見直しが起きて以降、奴隷制度そのものは廃止されてたが、奴隷商売そのものがなくなったわけではなく、今でも裏の世界で細々と横行していると噂で聞いた覚えがある。
当然ながら奴隷商売に手を染めるような奴らは犯罪組織や、不正で荒稼ぎしている悪徳貴族どもだ。
ゆえに昔よりも奴隷に対する仕打ちが酷いと聞く。
もしロゼの家族が奴隷だったら生存は絶望的だったろう。
だがロゼが言うには奴隷では無いらしいから、そこは一安心だ。
でもだとしたら、家族は一体誰が……。
「じゃあなんなんだ? 家族は何処にいる?」
「…………居場所はわからない。 家が没落してからは、皆散り散りになったから」
ああ、そういう意味だったのか。
家族を取り戻す、ってのは。
誰かではなく家族を、か。
恐らくロゼは両親そのものではなく、両親と自分を含む家族という単位そのものを取り戻そうとしているのだろう。
これらから察するに、ロゼが金を集める目的は多分……。
「だから金が必要なのか。 家族を取り戻して、また家族となる為に。 家族の拠り所たる家を買う為に」
「うん。 でもちょっと違う。 買うんじゃなくて買い戻す。 屋敷と地位を。 トールスタンの名前を」
ロゼの家名、トール。
どこかで聞いた覚えがあると思ったらそりゃそうだ。
なにしろトールスタン家と言えば。
「どこかでロゼの家名を聞いた覚えはあったが、まさか俺が生まれ育った故郷一帯を管理していた元貴族のご令嬢だったとはな。 これは流石に驚いた。 こんな故郷から離れた地で、トールスタンの人間とこうして卓を囲むだなんて、想像もしてなかったしな」
「え? もしかしてご主人も、フィオナ山脈の生まれだったの?」
「ああ、そうだ。 俺の生まれ故郷はトルトゥ村ってんだけど、もしかして知ってたりするか? 十五年前に山賊に滅ぼされた村なんだが」
きっと知らないだろう。
ロゼの年齢的に生まれた頃の事だから知る筈も無いだろうと、尋ねておきながら俺は勝手に決めつけていた。
そんな昔に滅んだ村など貴族は歯牙にもかけていないだろうと。
だが実際は違った。
ロゼは……いや、トールスタン家は覚えてくれていた。
トルトゥ村を。
「知ってる、覚えてる。 お父さんがいつも悔やんでいたから。 トルトゥ村をみすみす滅ぼさせてしまった不甲斐なさを、いつも悔やんでいたから。 だから、トルトゥ村はロゼにとっても馴染みのある言葉。 ちゃんと覚えてる」
あの悲劇が起きた村を、しっかりと。
それが何よりも嬉しかった。
悔やんでくれていると知れたから。
俺は瞳を潤わせる程、嬉しかった。
────2────
世の中は狭いと言うが、今日ほどその言葉を痛感した日はない。
まさか故郷から幾日も離れたこの地で、同郷の、しかも自分達の領主だったトールスタン家のご息女とこうして今卓を囲んでいるだなんて世の中何が起こるかわからないものだ。
その中で最も驚いたのは、やはりこれしかない。
「トルトゥ村を襲撃した山賊は、あの事件の後全滅させた?」
「うん。 亡きトルトゥの村民への手向けとして、根絶やしにしたってお父さんが昔言ってた」
なんでもロゼの父親、トールスタン前領主はあの事件の直後、部下の騎士に命じてトルトゥ村を襲った山賊を皆殺しにしたのだそうだ。
それ自体は喜ばしい話。
しかし一番気がかりだった、アレについてはどうやら覚悟しておいた方が良いみたいだ。
「そうか、それが本当なら胸の重石が下りた気分だ。 いつか自分の手で皆殺しにしようかと思ってたからな。 ありがとな、ロゼ」
「ううん、ロゼはなにもしてない。 全部お父さんがやった」
「だとしても、お前も元トールスタン家だろ。 ならやっぱりありがとうだ」
「……うん」
話に一区切りついた俺は、アルトとアナスタシアが黙って行く末を見守る中、最後の一口を頬張る。
そして、その一口を飲み込んだ後、最も気がかりだったアレを問いかける事にした。
「ロゼ、最後に一つだけ聞きかせてくれるか?」
「なに?」
「…………村の女達はどうなった? それだけ教えてくれ、頼む」
「それは……」
その問いにロゼは目を背けるが。
「覚悟は出来てる。 だから頼む、教えてくれ。 村の女達が……母さん達がどうなったのか、教えてくれロゼ。 この通りだ」
真剣な瞳で重苦しく言葉を紡いだ後、頭を下げた俺を一目見ると、空いた皿を見つめて一言呟いた。
予想していたが、当たって欲しくなかった一言を。
「…………見つかった人は全員死んでたって、お父さんは言ってた」
「そうか……」
その中に母親が居たかは知る術もないが、死んだのは間違いないだろう。
仮に生き延びたとしても、奴隷として売られたか、はたまた……まあどちらにせよ、悲惨な目に遭ったのは確実。
せめてあの世で幸せになっている事を祈るばかりだ。
「ご主人、大丈夫……?」
「お兄様……」
「…………すまん、大丈夫だ。 そうだろうとは思っていたからな。 思ったよりショックは大きくなかった」
本心かと問われれば半分嘘だが、嘆いてばかりもいられない。
いい加減、母さんの死を受け入れなければ。
いつまでも過去に囚われているわけにはいかない。
「兄貴ぃぃい! 大変だったんすねぇぇ! 俺、涙が止まんねえっす! うおおおおん!」
それに目の前でこれだけ泣かれては、泣く気も失せるというもの。
自分より泣いている人を目の当たりにすると逆に冷静になると聞くが、まさにその通りだな。
とはいえ、これだけ泣いてくれるのは正直なとこ、かなり嬉しくはある。
「全く、なんでお前が泣いてんだよ。 感受性豊か過ぎるだろ。 ほら、ちり紙」
「すびばせん、あにぎ……ぶー! 俺こういうの弱いんすよぉ。 兄貴が不憫で不憫で……」
「アルト、いつまで泣いてるんですか。 いい加減泣き止んでくださいよ。 じゃないと私まで……うぅ……」
お前もかよ。
やれやれ、これは収拾がつきそうにないな。
しょうがない、このまま落ち着くまで泣かせておくとしよう。
と、二人の啜り泣きが止むまでの僅かな時間を使って、俺はロゼにこんな提案を持ち掛けた。
「ロゼ、借りができたな。 返しきれない程、大きな借りが。 ……そこでだ。 この借りを少しでも返す為、俺にお前の手伝いをさせてくれないか?」
「手伝い? どんな?」
「それはもちろん、お前が家族を取り戻す為の手伝いだ。 貴族の屋敷を取り戻すという事は、家柄や爵位も取り戻さないといけないわけだろう? なら金貨百枚や二百枚じゃ絶対足りない。 かといって一人じゃ不可能な金額だ。 だけど二人なら一人よりマシな筈だ。 違うか?」
「それはそうだけど……良いの? ロゼの問題なのに」
確かにこれはロゼの問題だ。
だが俺の問題でもある。
「ああ、当たり前だ。 ロゼの親父さんはトルトゥ村の為、頑張ってくれた。 なら恩を返さないといけない。 トルトゥ村に生まれた者として。 だから手伝わせてほしい。 トールスタン家の為に」
もちろんそれだけが理由じゃない。
話によると、トールスタン家が没落したのは国への支払いが滞納していたのが原因らしい。
没落したのがおよそ八年前。
確かその頃か、それ以前だったか。
ティオ村に大量の寄付金が寄せられてきたのは。
大人達が大騒ぎしていたからよく覚えている。
あれは恐らく、トルトゥ村の生き残りを知った領主様が…………。
だとしたら俺はその恩も返したい。
いや、恩を返さないといけない。
ティオ村の、そしてトルトゥ村の一員として。
それがきっと、妹や皆を捨てた罪滅ぼしとなると信じて。
「頼む、ロゼ。 俺に手伝わせてくれ、トール家の復興を」
「…………うん、わかった。 力、借りる。 ありがと、ご主人。 ロゼ、ご主人と巡り会えてホントによかった」
そう言うと、初めて心からの微笑みを浮かべたロゼが抱きついてきた。
「うおっ! ロゼ? いきなりどうし……」
「ご主人、大好き。 大好き大好き大好き。 復興が成せれたら、ご主人を領主様にしてあげるね。 楽しみにしてて」
「……はい?」
おっとこれはいけない。
先程の言動がロゼのハートにクリーンヒットしてしまったのか、好感度が急上昇。
昨日までは【お金をくれるパパ的な人】だったのに、今しがた確認したら【生涯を共にしたい人】にグレードアップしているではないか。
どうしよ、これ……。
「はーい、お待ちどうさまー。 海鮮パスタと焼飯、それとお酒とジュースになりまーす」
「お、来た来た」
テーブルに並べられた皿から美味しそうな香りが漂ってくる。
海鮮ならではの磯の香りと全体的に茶色い色合いが食欲を刺激され我慢出来なかった俺は、アルトとアナスタシアの料理を待たずにパスタを一口頬張った。
「ん、旨いな。 それにさっぱりしてる。 これなら幾らでも食べられそうだ」
イノシシ肉や果物も旨いが、たまにはこういう海鮮も悪くない。
今度あいつらも連れてきてやろう。
きっと喜ぶに違いない。
光景が目に浮かぶようだ。
「んぐんぐ」
「旨いか?」
「うん、美味しい」
こうして食事に一生懸命になっている姿を見ていると、ロゼも年相応だと思えてくる。
殺しに手を染める女の子とは到底思えない。
「…………ロゼ、前々から気になってたんだが……」
「あむ……んぐんぐ…………ごくん。 なに、ご主人」
「どうしてロゼは傭兵なんかやってるんだ? お前の腕なら他に幾らでも仕事があるだろ。 なのになんでわざわざ傭兵なんか……」
「………………」
流石に踏み込みすぎたか。
ロゼにだって人に言いたくない事の一つや二つ……。
「悪い、言いたくなかったら別に……」
「家族を……取り戻すために、お金必要だから。 お金を集めるのに傭兵が一番手っ取り早かったから。 だから傭兵やってる。 それだけ」
家族を取り戻す……?
それって……。
「まさかとは思うが、家族は奴隷に……」
「違う、奴隷じゃない」
およそ五十年前。
社会制度の見直しが起きて以降、奴隷制度そのものは廃止されてたが、奴隷商売そのものがなくなったわけではなく、今でも裏の世界で細々と横行していると噂で聞いた覚えがある。
当然ながら奴隷商売に手を染めるような奴らは犯罪組織や、不正で荒稼ぎしている悪徳貴族どもだ。
ゆえに昔よりも奴隷に対する仕打ちが酷いと聞く。
もしロゼの家族が奴隷だったら生存は絶望的だったろう。
だがロゼが言うには奴隷では無いらしいから、そこは一安心だ。
でもだとしたら、家族は一体誰が……。
「じゃあなんなんだ? 家族は何処にいる?」
「…………居場所はわからない。 家が没落してからは、皆散り散りになったから」
ああ、そういう意味だったのか。
家族を取り戻す、ってのは。
誰かではなく家族を、か。
恐らくロゼは両親そのものではなく、両親と自分を含む家族という単位そのものを取り戻そうとしているのだろう。
これらから察するに、ロゼが金を集める目的は多分……。
「だから金が必要なのか。 家族を取り戻して、また家族となる為に。 家族の拠り所たる家を買う為に」
「うん。 でもちょっと違う。 買うんじゃなくて買い戻す。 屋敷と地位を。 トールスタンの名前を」
ロゼの家名、トール。
どこかで聞いた覚えがあると思ったらそりゃそうだ。
なにしろトールスタン家と言えば。
「どこかでロゼの家名を聞いた覚えはあったが、まさか俺が生まれ育った故郷一帯を管理していた元貴族のご令嬢だったとはな。 これは流石に驚いた。 こんな故郷から離れた地で、トールスタンの人間とこうして卓を囲むだなんて、想像もしてなかったしな」
「え? もしかしてご主人も、フィオナ山脈の生まれだったの?」
「ああ、そうだ。 俺の生まれ故郷はトルトゥ村ってんだけど、もしかして知ってたりするか? 十五年前に山賊に滅ぼされた村なんだが」
きっと知らないだろう。
ロゼの年齢的に生まれた頃の事だから知る筈も無いだろうと、尋ねておきながら俺は勝手に決めつけていた。
そんな昔に滅んだ村など貴族は歯牙にもかけていないだろうと。
だが実際は違った。
ロゼは……いや、トールスタン家は覚えてくれていた。
トルトゥ村を。
「知ってる、覚えてる。 お父さんがいつも悔やんでいたから。 トルトゥ村をみすみす滅ぼさせてしまった不甲斐なさを、いつも悔やんでいたから。 だから、トルトゥ村はロゼにとっても馴染みのある言葉。 ちゃんと覚えてる」
あの悲劇が起きた村を、しっかりと。
それが何よりも嬉しかった。
悔やんでくれていると知れたから。
俺は瞳を潤わせる程、嬉しかった。
────2────
世の中は狭いと言うが、今日ほどその言葉を痛感した日はない。
まさか故郷から幾日も離れたこの地で、同郷の、しかも自分達の領主だったトールスタン家のご息女とこうして今卓を囲んでいるだなんて世の中何が起こるかわからないものだ。
その中で最も驚いたのは、やはりこれしかない。
「トルトゥ村を襲撃した山賊は、あの事件の後全滅させた?」
「うん。 亡きトルトゥの村民への手向けとして、根絶やしにしたってお父さんが昔言ってた」
なんでもロゼの父親、トールスタン前領主はあの事件の直後、部下の騎士に命じてトルトゥ村を襲った山賊を皆殺しにしたのだそうだ。
それ自体は喜ばしい話。
しかし一番気がかりだった、アレについてはどうやら覚悟しておいた方が良いみたいだ。
「そうか、それが本当なら胸の重石が下りた気分だ。 いつか自分の手で皆殺しにしようかと思ってたからな。 ありがとな、ロゼ」
「ううん、ロゼはなにもしてない。 全部お父さんがやった」
「だとしても、お前も元トールスタン家だろ。 ならやっぱりありがとうだ」
「……うん」
話に一区切りついた俺は、アルトとアナスタシアが黙って行く末を見守る中、最後の一口を頬張る。
そして、その一口を飲み込んだ後、最も気がかりだったアレを問いかける事にした。
「ロゼ、最後に一つだけ聞きかせてくれるか?」
「なに?」
「…………村の女達はどうなった? それだけ教えてくれ、頼む」
「それは……」
その問いにロゼは目を背けるが。
「覚悟は出来てる。 だから頼む、教えてくれ。 村の女達が……母さん達がどうなったのか、教えてくれロゼ。 この通りだ」
真剣な瞳で重苦しく言葉を紡いだ後、頭を下げた俺を一目見ると、空いた皿を見つめて一言呟いた。
予想していたが、当たって欲しくなかった一言を。
「…………見つかった人は全員死んでたって、お父さんは言ってた」
「そうか……」
その中に母親が居たかは知る術もないが、死んだのは間違いないだろう。
仮に生き延びたとしても、奴隷として売られたか、はたまた……まあどちらにせよ、悲惨な目に遭ったのは確実。
せめてあの世で幸せになっている事を祈るばかりだ。
「ご主人、大丈夫……?」
「お兄様……」
「…………すまん、大丈夫だ。 そうだろうとは思っていたからな。 思ったよりショックは大きくなかった」
本心かと問われれば半分嘘だが、嘆いてばかりもいられない。
いい加減、母さんの死を受け入れなければ。
いつまでも過去に囚われているわけにはいかない。
「兄貴ぃぃい! 大変だったんすねぇぇ! 俺、涙が止まんねえっす! うおおおおん!」
それに目の前でこれだけ泣かれては、泣く気も失せるというもの。
自分より泣いている人を目の当たりにすると逆に冷静になると聞くが、まさにその通りだな。
とはいえ、これだけ泣いてくれるのは正直なとこ、かなり嬉しくはある。
「全く、なんでお前が泣いてんだよ。 感受性豊か過ぎるだろ。 ほら、ちり紙」
「すびばせん、あにぎ……ぶー! 俺こういうの弱いんすよぉ。 兄貴が不憫で不憫で……」
「アルト、いつまで泣いてるんですか。 いい加減泣き止んでくださいよ。 じゃないと私まで……うぅ……」
お前もかよ。
やれやれ、これは収拾がつきそうにないな。
しょうがない、このまま落ち着くまで泣かせておくとしよう。
と、二人の啜り泣きが止むまでの僅かな時間を使って、俺はロゼにこんな提案を持ち掛けた。
「ロゼ、借りができたな。 返しきれない程、大きな借りが。 ……そこでだ。 この借りを少しでも返す為、俺にお前の手伝いをさせてくれないか?」
「手伝い? どんな?」
「それはもちろん、お前が家族を取り戻す為の手伝いだ。 貴族の屋敷を取り戻すという事は、家柄や爵位も取り戻さないといけないわけだろう? なら金貨百枚や二百枚じゃ絶対足りない。 かといって一人じゃ不可能な金額だ。 だけど二人なら一人よりマシな筈だ。 違うか?」
「それはそうだけど……良いの? ロゼの問題なのに」
確かにこれはロゼの問題だ。
だが俺の問題でもある。
「ああ、当たり前だ。 ロゼの親父さんはトルトゥ村の為、頑張ってくれた。 なら恩を返さないといけない。 トルトゥ村に生まれた者として。 だから手伝わせてほしい。 トールスタン家の為に」
もちろんそれだけが理由じゃない。
話によると、トールスタン家が没落したのは国への支払いが滞納していたのが原因らしい。
没落したのがおよそ八年前。
確かその頃か、それ以前だったか。
ティオ村に大量の寄付金が寄せられてきたのは。
大人達が大騒ぎしていたからよく覚えている。
あれは恐らく、トルトゥ村の生き残りを知った領主様が…………。
だとしたら俺はその恩も返したい。
いや、恩を返さないといけない。
ティオ村の、そしてトルトゥ村の一員として。
それがきっと、妹や皆を捨てた罪滅ぼしとなると信じて。
「頼む、ロゼ。 俺に手伝わせてくれ、トール家の復興を」
「…………うん、わかった。 力、借りる。 ありがと、ご主人。 ロゼ、ご主人と巡り会えてホントによかった」
そう言うと、初めて心からの微笑みを浮かべたロゼが抱きついてきた。
「うおっ! ロゼ? いきなりどうし……」
「ご主人、大好き。 大好き大好き大好き。 復興が成せれたら、ご主人を領主様にしてあげるね。 楽しみにしてて」
「……はい?」
おっとこれはいけない。
先程の言動がロゼのハートにクリーンヒットしてしまったのか、好感度が急上昇。
昨日までは【お金をくれるパパ的な人】だったのに、今しがた確認したら【生涯を共にしたい人】にグレードアップしているではないか。
どうしよ、これ……。
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