千年巡礼

第4章 『さがしもの』

2.声？

　目を開いた。
　――つもりだった。

　真っ暗で何も見えない。
　自身の手元に落としている筈の視界にも、何も映らない。
　僅かな光すらも届いていない、いや元よりそんなものすらないような、全てが黒い空間にいるらしい。

　どうした。
　何があった。
　ミツキはどうなっている。
　自分は何をされたんだ。

　そんなことを思い、呼びかけようと口を開くが、声も出ない。
　息が出来ているのかすらも分からない。
　そんな中、

――……け、て……――

　今にも消え入りそうな、小さな声がどこかからか届く。

――……た……て……――

　誰かいるのか。
　どこかにいるのか。
　頭を回しても、同じ黒しか見えない。
　何者かがいるような気配もない。
　何かに触れているような感覚もない。
　それでも、

――……た……け……――

　声は、確かにどこからか響いている。
　誰だ。
　どこだ。
　言いたいことがあるなら返事をしてくれ。
　何がしたいのか教えてくれ。
　そう念じ続けるが、やはり声は出ない。

「――……ぁ……――」

　精一杯口を開いて絞り出したつもりの声が、ようやく音となって僅かに響いたかと思った瞬間、

――…………だれか……――