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44話 山の城に戻ってもラッキースケベ
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「お風呂いこ~」
朝風呂もいいよねと思いつつ足を進める。
無事イディッソスコ山の城に戻れた。
シコフォーナクセー王城をなんなく出て。
まあ別れ際に両陛下がパリピ状態でオールしたいパーティーしたいって泣いて喚いていたのは困ったけど。
次またパーティーしようねって言えば招待状出すって張り切ってたな。
「……」
もう一つ驚いたのはエフィの所在。
お別れかなと思ったらあっさりエフィがついてきた。
別れの挨拶の時に両陛下にもきいたけど、別にいいよな軽いノリだし、エフィは当たり前だろな感じで肩透かしだ。
なんだか行きはとても深刻だった気がしたんだけど、終わるとえらい軽くない?
まあこれでシコフォーナクセー側から二個師団とかで攻めてくることもなさそうだからいいんだけど。元々はエフィが二度と魔力枯渇状態にならないでほしいと思ってたからやったことだし。
「それに、いつかはお別れだしね」
先延ばしになっただけだ。むしろ今もこうして一緒に居続けると、その時に耐えられなくなりそう。想像しただけで苦しいんだから現実起きたら耐えられない。
最初はエフィのいない城なんて考えられなかったのに、苦しくなるから一緒は嫌とかおかしい話だなあ。
「はあ……」
「ん?」
がらっとお風呂場のドアをあける。ちなみにお風呂は引き戸だったり。
いやまって、そんなことより、あっれ、うそ。
「え?」
「ごめ」
ピシャッとしめる。
やばいやばい。男子湯開けちゃったじゃん。なんで仲良く男三人でお風呂入ってるの。
あがってきたばかりでなにも着てなかった。タオルとかで隠してくれてありがとう。本当危なかったわ。
「逃げよ」
ダッシュを決め込むと扉越しにエフィ服着ろと叫ぶアステリの声が聞こえた。
真っ裸で出てくるとか恐怖。やめて。
「イリニ」
「うそ」
目の前に現れた。
避けきれず私からエフィに抱きつくみたいになっちゃって辛い。こんなはずでは。
エフィったらわざわざハグするだけのために転移使ったの? そこまでする?
「よし」
「っ」
王都デートから手玉にとられてる感がする。
あの後のデートだって勝手知ったる王都の街の人気スポットから穴場までスマートにエスコートしてくれた。案内されたご飯もおいしかったしなあ。渋谷交差点候補まで見せてくれたし、私が行きたい場所を言えば喜んでって感じで、終始エフィは笑顔だった気がする。ラッキースケベを理由に手は離してくれなかったけど、余裕をもって楽しそうにしてるエフィを見てて無性にどきどきする時があった。
あの日からエフィは随分余裕の体でいる気がする。
「つめた」
「ああ乾かさないとな」
乾かしてない髪から雫が落ちて私の旋毛に当たった。
見上げたら、さらにもう一滴頬にかかる。
「うわあ」
「?」
かろうじて服着てくれたのはありがたいけど、急いでいたのかややはだけ気味に着ている。
濡れた髪はもちろん頬も少し濡れてて、ああもうお風呂上がりの上気して赤みを帯びた顔は反則でしょ。
見るんじゃなかった。
「エフィえろいひどい」
「はあ?」
さっき一瞬見た姿思い出しちゃう。
意外と身体鍛えててすごかったなあ、いやちがう。やめよう恥ずかしい。
片手で私を抱き込んで、あいた片手を口元に持ってきて、ふむと考えるエフィ。
「イリニ」
「なに」
「髪を乾かしてくれ」
「なんでそうなるの」
魔法使えばいいじゃんって言っても聞いてくれなかった。
そのままエフィの部屋に連れていかれる。扉は開けっ放しにしてるけど、未婚の男女が二人しかも片方湯上りなんて状況あんまりよろしくないと思う。
そして妙にいそいそしながらバスタオル持ってくるエフィ。いいよって返事してないのに、なんでそんなに期待に満ちた顔をするの。やるの決定項なわけ?
「私、エフィの侍女じゃないんだけど」
「こうしてれば淋しくないだろ」
「ぐぐ」
理由をきかれなかったからよかったけど、淋しいのを逆手にとられてるみたいで癪。
溜め息一つ、エフィの座るソファを回り込んで後ろからバスタオルを頭にかけた。
「淋しいのを紛らわせるのはもっと違う方法がいい」
「それを言い出したらハグだって駄目だろ」
専属じゃなきゃいいんだけど、と思って言わなかった。またエフィが駄々こねかねない。
「エフィって甘えたさんだよねー」
おや、エフィてば頭の形きれい。バスタオル越しでもよく分かる。
「そんなことはない」
「ええ?」
「これはイリニのためにやってるだけで」
「ふうん?」
さっきいそいそしながら髪の毛拭かれにきたくせに。
「ほら、もういいから座って」
「まだ終わってないよ?」
「茶はあたたかい内がいいだろう」
エフィは自分でお茶をいれる。
曰く、毒を盛られたりすることが多かったから、食器から茶葉まで自分で用意するようになったらしい。
王族って大変だねと思いつつ、私はエフィのお茶を楽しみにしていたりする。
とても美味しくいれてくれるから。
「ほら」
「ん」
当たり前のように出される。
さっきは私が侍女みたいなことしてたけど、今度はエフィが侍従みたいなことしてるな。
基本自分のことは自分でやるのがこの城のルールだから、エフィが生活面で一人でできてよかった。王太子レベルって侍女侍従数人侍らして着替えするとかそういうイメージだったけど、シコフォーナクセーでは存外自立してもらう方針らしい。パリピ、グッジョブ。
「ん、おいし」
「そうか」
本当においしいからなあ、癖になりそう。そしてエフィは私の言葉にとても満足そうに笑うようになった。以前は以前でそわそわしてたけど。
エフィはこう見えて、結構お茶を飲むのが好きなんだろうな。
結構な頻度で誘われる。最近はシコフォーナクセーの新しい茶葉が出ればすぐに取り寄せるし。
でもだからってハグ係専属の件を許したわけじゃないんだから。
朝風呂もいいよねと思いつつ足を進める。
無事イディッソスコ山の城に戻れた。
シコフォーナクセー王城をなんなく出て。
まあ別れ際に両陛下がパリピ状態でオールしたいパーティーしたいって泣いて喚いていたのは困ったけど。
次またパーティーしようねって言えば招待状出すって張り切ってたな。
「……」
もう一つ驚いたのはエフィの所在。
お別れかなと思ったらあっさりエフィがついてきた。
別れの挨拶の時に両陛下にもきいたけど、別にいいよな軽いノリだし、エフィは当たり前だろな感じで肩透かしだ。
なんだか行きはとても深刻だった気がしたんだけど、終わるとえらい軽くない?
まあこれでシコフォーナクセー側から二個師団とかで攻めてくることもなさそうだからいいんだけど。元々はエフィが二度と魔力枯渇状態にならないでほしいと思ってたからやったことだし。
「それに、いつかはお別れだしね」
先延ばしになっただけだ。むしろ今もこうして一緒に居続けると、その時に耐えられなくなりそう。想像しただけで苦しいんだから現実起きたら耐えられない。
最初はエフィのいない城なんて考えられなかったのに、苦しくなるから一緒は嫌とかおかしい話だなあ。
「はあ……」
「ん?」
がらっとお風呂場のドアをあける。ちなみにお風呂は引き戸だったり。
いやまって、そんなことより、あっれ、うそ。
「え?」
「ごめ」
ピシャッとしめる。
やばいやばい。男子湯開けちゃったじゃん。なんで仲良く男三人でお風呂入ってるの。
あがってきたばかりでなにも着てなかった。タオルとかで隠してくれてありがとう。本当危なかったわ。
「逃げよ」
ダッシュを決め込むと扉越しにエフィ服着ろと叫ぶアステリの声が聞こえた。
真っ裸で出てくるとか恐怖。やめて。
「イリニ」
「うそ」
目の前に現れた。
避けきれず私からエフィに抱きつくみたいになっちゃって辛い。こんなはずでは。
エフィったらわざわざハグするだけのために転移使ったの? そこまでする?
「よし」
「っ」
王都デートから手玉にとられてる感がする。
あの後のデートだって勝手知ったる王都の街の人気スポットから穴場までスマートにエスコートしてくれた。案内されたご飯もおいしかったしなあ。渋谷交差点候補まで見せてくれたし、私が行きたい場所を言えば喜んでって感じで、終始エフィは笑顔だった気がする。ラッキースケベを理由に手は離してくれなかったけど、余裕をもって楽しそうにしてるエフィを見てて無性にどきどきする時があった。
あの日からエフィは随分余裕の体でいる気がする。
「つめた」
「ああ乾かさないとな」
乾かしてない髪から雫が落ちて私の旋毛に当たった。
見上げたら、さらにもう一滴頬にかかる。
「うわあ」
「?」
かろうじて服着てくれたのはありがたいけど、急いでいたのかややはだけ気味に着ている。
濡れた髪はもちろん頬も少し濡れてて、ああもうお風呂上がりの上気して赤みを帯びた顔は反則でしょ。
見るんじゃなかった。
「エフィえろいひどい」
「はあ?」
さっき一瞬見た姿思い出しちゃう。
意外と身体鍛えててすごかったなあ、いやちがう。やめよう恥ずかしい。
片手で私を抱き込んで、あいた片手を口元に持ってきて、ふむと考えるエフィ。
「イリニ」
「なに」
「髪を乾かしてくれ」
「なんでそうなるの」
魔法使えばいいじゃんって言っても聞いてくれなかった。
そのままエフィの部屋に連れていかれる。扉は開けっ放しにしてるけど、未婚の男女が二人しかも片方湯上りなんて状況あんまりよろしくないと思う。
そして妙にいそいそしながらバスタオル持ってくるエフィ。いいよって返事してないのに、なんでそんなに期待に満ちた顔をするの。やるの決定項なわけ?
「私、エフィの侍女じゃないんだけど」
「こうしてれば淋しくないだろ」
「ぐぐ」
理由をきかれなかったからよかったけど、淋しいのを逆手にとられてるみたいで癪。
溜め息一つ、エフィの座るソファを回り込んで後ろからバスタオルを頭にかけた。
「淋しいのを紛らわせるのはもっと違う方法がいい」
「それを言い出したらハグだって駄目だろ」
専属じゃなきゃいいんだけど、と思って言わなかった。またエフィが駄々こねかねない。
「エフィって甘えたさんだよねー」
おや、エフィてば頭の形きれい。バスタオル越しでもよく分かる。
「そんなことはない」
「ええ?」
「これはイリニのためにやってるだけで」
「ふうん?」
さっきいそいそしながら髪の毛拭かれにきたくせに。
「ほら、もういいから座って」
「まだ終わってないよ?」
「茶はあたたかい内がいいだろう」
エフィは自分でお茶をいれる。
曰く、毒を盛られたりすることが多かったから、食器から茶葉まで自分で用意するようになったらしい。
王族って大変だねと思いつつ、私はエフィのお茶を楽しみにしていたりする。
とても美味しくいれてくれるから。
「ほら」
「ん」
当たり前のように出される。
さっきは私が侍女みたいなことしてたけど、今度はエフィが侍従みたいなことしてるな。
基本自分のことは自分でやるのがこの城のルールだから、エフィが生活面で一人でできてよかった。王太子レベルって侍女侍従数人侍らして着替えするとかそういうイメージだったけど、シコフォーナクセーでは存外自立してもらう方針らしい。パリピ、グッジョブ。
「ん、おいし」
「そうか」
本当においしいからなあ、癖になりそう。そしてエフィは私の言葉にとても満足そうに笑うようになった。以前は以前でそわそわしてたけど。
エフィはこう見えて、結構お茶を飲むのが好きなんだろうな。
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でもだからってハグ係専属の件を許したわけじゃないんだから。
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