クールキャラなんて演じられない!

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1章 推しがデレを見せるまで。もしくは、推しが生きようと思えるまで。

61話 お城で王陛下謁見イベント 後編

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公的な認めがある上での事業を開始しろという辞令ということなのはわかるけど、王に呼ばれてがくがくしていた私の緊張を返して。
いや、さっきまで緊張してなかったけど。
ゲームままの世界に浸っていた挙げ句、推し達がゲーム内の衣装をリアルに着て間近にいるとかどうしたらいいかわからない状態の中にいたから、そもそも最初の目的忘れてたよ…王陛下謁見というイベントだった。
だいぶ畏まる必要がない事が父親のおかげで分かったので、ここは存分に許可なく話しかけるとしよう。

「王陛下」
「どうした、オリアーナ」
「新事業として立ち上げるに当たり、アッタッカメント辺境伯に助力を借りる形をとってもよろしいでしょうか?」
「え?!」
「オリアーナ!」

なに、そんなに驚くこと?
もう恩赦で服役は終えてるし、自宅警備の形で引きこもり服役はしてるだろうけど、監視さえあれば何をしても問題ないはずだ。

「監視という制限はかかるだろうが、法的に問題はないな」
「けれど何故、アッタッカメント辺境伯の助力が必要なのかしら?」

トットとエステルがきいてくるところを見ると助け舟か。
確かに急に私の口からその名を出すのはどうかって話だろうし、そもそも助けを求めるにしても人選と思うだろう。
ありがたい子達よ…たぶん内心相当驚いているのに。

「貴族、庶民と幅広く国内にジャージと運動を浸透するには、いくつか解決しなきゃいけないことがあるんですよ」
「以前も話していたことか」
「そうです。安価販売を目的とした大量生産を可能にすること、トレーナーの育成、今より広範囲における流通ルートの確立、加えて専用の施設も必要かなと」
「ふむ、続けて」
「叔父には流通ルートを一任して、ガラッシア家は生産側と立ち上げに力をいれます。同時、叔父の人脈で力仕事に適任な人材がいるので、そちらの斡旋を要求します。施設建築と流通ルート確立補助でいかせる人材かと」
「その人脈とアッタッカメント辺境伯が何かをしでかす可能性は」
「ゼロではないでしょうね。心配なようでしたら監視を増やします」

何かあっても私がボコボコにすればいいだけのこと、もっともあの一件以降見かけた試しがないから、この国にまだいるのか疑問ではあるけど可能性はある。
私の監視を増やすという言葉だけでは、叔父への不審が残る王はなかなかいい顔をしない。
それならさらに条件を加えよう。

「王陛下が不安であれば、叔父の今回の仕事に関しては福祉活動として利益のマージンはなしにしましょう。無賃でやってもらいます」
「…ほう」
「しかし、叔父の服役が終わり次第、叔父の意思が続けたいとなるなら、それ以降流通ルートに関しての利益は与えてもいいかと」
「それは随分寛大だな」
「父が恩赦を望んだのもありますし、いい機会かと」

ちらりとオリアーナを見やる。
軽く頷き「かまいません」と小さく主張した。
流通の利益全てを与えるわけではないし、当然その内の部分はガラッシア家に入る。
監視の中とはいえ、社会復帰するにはいい機会だろう。
辺境伯という爵位は国境問題を抱える手前、王都側からしても失うには惜しいはずだ。

「アッタッカメント辺境伯が拒否したら?」
「それもいいでしょう。チャンスを蹴るも蹴らないも本人次第ですから。他の伝手を使いますので」

ただし一回きりしかやらないけど。
王は顎に手を添え、何かを考えてるようだった。

「あては」
「父がかつて面倒を見て発展に至った商店市場の人々と自治組織全てに協力を要請します」
「ほうほう」
「貴族界隈への流通は問題ありません。庶民の方々への幅広い流通をお考えであれば、やはり現場を良く知る人物達への協力は不可欠ではないでしょうか」

返事としては良いものだったようだ。
知ってる人に協力を頼む以外にも、最初から雇用するという方法もあるけど、そうなると望むスピードが得られない。
ここは経験者に動いてもらうのが得策だ。
なにせ今ランニングしてるところ、追加でああだこうだしたり新規で始めるには後手になる。

「では王陛下、よろしいでしょうか?」
「ああかまわない。君達に任せる。我々の後援を上手に使いなさい」
「もちろん」

おっと近い距離につい油断して軽く返してしまったな。
けど王陛下はあまり気にしてないようだった。
頼もしいと笑っている。

「今のオリアーナは随分明るくなったな」
「そ、そそそうでしょうか?」

ちょっとこんなところで別人ですか的なことを追及する?
いや、この純粋培養な視線、たぶん大丈夫だ。
トットといい真面目がすぎて、真正面から受け止め受け入れる帰来があるみたいだけど、あまりに正直に生きてると心配になってくるよ。

「いや良いことだ、ありのままでいなさい」
「はあ」

改めて考えてみると、王が公式に認めてその後援を得ると言う事は、著作権等の権利が全て私達にあると保証されたことになる。
つまり模造品防止にもつながるし、粗悪な運動方法の流通も避ける事が出来るわけだ。
この王、もしかしてそこまで見据えた上で呼び出してきたの?
ジャージと運動が国内流行をすると踏んで?
のほほんとしてる割にやはりそこは一国の主ということか。

「そうだ、北の隣国で手に入れた珍しい果物があってな」
「北方?あそこは風土の関係で、あまり農作物が育たないのではなかったか?」
「どうやら細い土と寒さに耐える品種に辿り着いたらしい。土産に持っていけ」
「ああ、ありがとう」

加え、父親は王と個人的に会う約束までしていた…これが幼馴染とは実においしい。
そして最後に存分にトットとエステルにうはうはして城を後にした。

そして翌日以降、面白いぐらいこの話が広まっていて軽く吹いたのは言うまでもない。
どこから広まったんだよ。
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