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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
97話 私はただお届け物を配達しただけなのに、どうしてこうなる
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「どうしてこうなる……」
私は複製本を使ってやりたいことがあったから、すぐに帰るつもりだったのだけど。
時は数時間前に遡る。
あれ、なんだか漫画とかアニメのセオリーな始め方じゃない?あがる。
「チアキ」
「なに?」
「オーダーメイドのランニングウェアの注文が至急入り、出来上がったものがこちらです」
「うん」
その報告は特段必要ないと思うのだけどな。検品は職人さんとこでダブルチェックのシステム確立してるから問題ないし、配送については王城エリア1番の運び屋大手と提携してるんだから、そこにいつも通り頼めば安心だよ。運び間違えも遅延もない優良企業で、人員の増員は済ませているからストライキもない。
「さる候爵家の方です。お届けはガラッシア家が直接伺うのが良いかと」
「そんなに太い客なの?」
王族よりも?
いやまあネウトラーレ候爵夫人が社交界に大きく影響を与えるように、市場に影響力ある家はあるだろうけど、今になって現れるの?
「最初の注文では父が既に届けています」
「リピーターさんなの」
「なので、今回はチアキが適任かと」
確かにこの事業の発案は父と私でやっている。見た目オルネッラは最近目覚めたばかりで、この事業には関わっていない設定だ。見た目オルネッラが行っても、ただのお使いに見えてしまう可能性が高い。となると、私が1番適任ということになる。
「OK、私が行くよ。リピーターの心を掴もうじゃないか」
「ありがとうございます」
「念のため新作のパンフレット持ってこうかな」
「用意してあります」
「オリアーナ優秀! 好き!」
さて馬車に揺られて幾ばかり。
複製本を読み進め、必要なところは頭に入れた。すぐに帰って準備を整えて立ち会いに声をかけて直近祝日にでもすぐにやろう。
伺う候爵家は以前父が来た時も、そこまで長居はしなかったようだし、リピーターさんだけあって歓待だったよう。安心して軽い挨拶と宣伝だけして、さっさと帰れそうなのが救いだ。
「お待ちしておりました」
オリアーナがアポイントとってくれてたからスムーズ。
本当目覚めてからは事業やら学業やら精力的に動いていて頼もしい。メンタルチェックは定期的にばれないようさぐっているけど問題なさそうだし、クラーレによる心身の調子確認も問題ない。結構早くにここまで辿り着けてなにより。そしてこれからも大事。
「……おお」
到着した侯爵家の内装がすごい。ガラッシア家も相当だけど、この候爵家はそれ以上だな。かつ歴史が古そうだ。壁にかけられた歴代の主人を描いた絵画に、置かれてるものの重厚さ、いいねえ美術館にいるみたい。
「チアキ?」
「ん?」
呼ばれ見上げれば、階段をおりようとするディエゴが見えた。
え、ディエゴ?
「チアキ、何故ここに」
「それはこっちの台詞だよ」
足早に階段を降りてくる。
「私はお届けものを届けに来ただけだよ」
「ああ、だから」
得たりといった様子で私の手元を見る。
「ディエゴは」
「ん? ここは俺の家だが」
「なん、だと……」
おおおおオリアーナ、何故黙っていた!さる候爵家って確かにディエゴは候爵家だけど!名前聞かなかった私もいけないけども!
「俺が案内しよう」
そう言ってディエゴがメイドさんをさがらせた。ああ、ガラッシア家と衣装違うし、雰囲気も全然違うからもっとガン見したかったのに。
私の明らかな落胆ぶりを見て、ディエゴが不思議そうに去っていくメイドに視線をよこした。
「メイドが気に入ったのか?」
「衣装をもっと間近で見たい」
「……相変わらずだな」
お茶いれてもらう時にガン見しよ。
好みでいうなら露出の少ないガラッシア家メイド服が最推しなんだけど、ソラーレ候爵家のメイド服もいい。こうちょっとアンティーク感があって。
「両親に予定が入っていたのは君だったんだな」
「私は今日初めて知って来たクチだよ」
「そうか」
改めて見るこのツンデレは爵位のある家の坊ちゃんなんだなとしみじみ感じる。佇まいや所作が綺麗だもんなあ。背景がこの家だと映えますね。
「父様、母様。ガラッシア公爵令嬢がいらっしゃいました」
「おお……」
応接間の豪華さたるや。
ジャンルで言うならネウトラーレ候爵夫人よりで、商談の為とシンプルに落ち着かせているガラッシア家とは全然違う。色合いはやや鮮やか。ディエゴぽいかと言われると少し違うから、両親の趣味か歴代君主の趣味か。
「あらディエゴ、貴方がご案内したの」
「はい」
は、いけない。文化遺産なインテリアに癒されていた。ご挨拶だ、掴みは大事だ。
「お初にお目にかかります。オリアーナ・テゾーロ・ガラッシアと申します。どうぞお見知りおきを」
「ええ、よろしくね」
「チアキ、顔を上げていい」
「え?」
横からディエゴに言われ佇まいを直すが、目の前までご両親がきていた。ディエゴと違ってにっこにこだ。ツンデレはさすがに遺伝しない。
「普段息子から話をきいている」
「は、い」
貴方の息子さんをお断りし続けてることですか?やだ恐怖で震える。うちの息子に色目使いやがって的な?この笑顔で攻められたら結構恐怖じゃない。
「貴方の活躍はずっと聴いていたわ。いくらか姿を見たことがあったのだけど、こうしてお会いできて嬉しいわあ」
「ありがとうございます」
「うむ、息子の言う通り美人だなあ」
なんだか滲む天然感。いやこの場は社交辞令もあるから大人の対応というものだろう。
立ち話もということで、座ってお茶を頂く流れになった。さっさと商品を渡すとしよう。
「こちらが」
「あらあもう出来たのねえ! 凄いわあ!」
どれどれと商品を広げるご両親、メイドが茶を持ってきた時、こっそりメイドさんを脳内保管して、はしゃぐご両親に向き直る。
「これでじょぎんぐとすとれっちを続けてれば、私も貴方みたいに大階段から飛べるかしら」
「ごふっ」
危ない、茶吹くとこだったわ。
私は複製本を使ってやりたいことがあったから、すぐに帰るつもりだったのだけど。
時は数時間前に遡る。
あれ、なんだか漫画とかアニメのセオリーな始め方じゃない?あがる。
「チアキ」
「なに?」
「オーダーメイドのランニングウェアの注文が至急入り、出来上がったものがこちらです」
「うん」
その報告は特段必要ないと思うのだけどな。検品は職人さんとこでダブルチェックのシステム確立してるから問題ないし、配送については王城エリア1番の運び屋大手と提携してるんだから、そこにいつも通り頼めば安心だよ。運び間違えも遅延もない優良企業で、人員の増員は済ませているからストライキもない。
「さる候爵家の方です。お届けはガラッシア家が直接伺うのが良いかと」
「そんなに太い客なの?」
王族よりも?
いやまあネウトラーレ候爵夫人が社交界に大きく影響を与えるように、市場に影響力ある家はあるだろうけど、今になって現れるの?
「最初の注文では父が既に届けています」
「リピーターさんなの」
「なので、今回はチアキが適任かと」
確かにこの事業の発案は父と私でやっている。見た目オルネッラは最近目覚めたばかりで、この事業には関わっていない設定だ。見た目オルネッラが行っても、ただのお使いに見えてしまう可能性が高い。となると、私が1番適任ということになる。
「OK、私が行くよ。リピーターの心を掴もうじゃないか」
「ありがとうございます」
「念のため新作のパンフレット持ってこうかな」
「用意してあります」
「オリアーナ優秀! 好き!」
さて馬車に揺られて幾ばかり。
複製本を読み進め、必要なところは頭に入れた。すぐに帰って準備を整えて立ち会いに声をかけて直近祝日にでもすぐにやろう。
伺う候爵家は以前父が来た時も、そこまで長居はしなかったようだし、リピーターさんだけあって歓待だったよう。安心して軽い挨拶と宣伝だけして、さっさと帰れそうなのが救いだ。
「お待ちしておりました」
オリアーナがアポイントとってくれてたからスムーズ。
本当目覚めてからは事業やら学業やら精力的に動いていて頼もしい。メンタルチェックは定期的にばれないようさぐっているけど問題なさそうだし、クラーレによる心身の調子確認も問題ない。結構早くにここまで辿り着けてなにより。そしてこれからも大事。
「……おお」
到着した侯爵家の内装がすごい。ガラッシア家も相当だけど、この候爵家はそれ以上だな。かつ歴史が古そうだ。壁にかけられた歴代の主人を描いた絵画に、置かれてるものの重厚さ、いいねえ美術館にいるみたい。
「チアキ?」
「ん?」
呼ばれ見上げれば、階段をおりようとするディエゴが見えた。
え、ディエゴ?
「チアキ、何故ここに」
「それはこっちの台詞だよ」
足早に階段を降りてくる。
「私はお届けものを届けに来ただけだよ」
「ああ、だから」
得たりといった様子で私の手元を見る。
「ディエゴは」
「ん? ここは俺の家だが」
「なん、だと……」
おおおおオリアーナ、何故黙っていた!さる候爵家って確かにディエゴは候爵家だけど!名前聞かなかった私もいけないけども!
「俺が案内しよう」
そう言ってディエゴがメイドさんをさがらせた。ああ、ガラッシア家と衣装違うし、雰囲気も全然違うからもっとガン見したかったのに。
私の明らかな落胆ぶりを見て、ディエゴが不思議そうに去っていくメイドに視線をよこした。
「メイドが気に入ったのか?」
「衣装をもっと間近で見たい」
「……相変わらずだな」
お茶いれてもらう時にガン見しよ。
好みでいうなら露出の少ないガラッシア家メイド服が最推しなんだけど、ソラーレ候爵家のメイド服もいい。こうちょっとアンティーク感があって。
「両親に予定が入っていたのは君だったんだな」
「私は今日初めて知って来たクチだよ」
「そうか」
改めて見るこのツンデレは爵位のある家の坊ちゃんなんだなとしみじみ感じる。佇まいや所作が綺麗だもんなあ。背景がこの家だと映えますね。
「父様、母様。ガラッシア公爵令嬢がいらっしゃいました」
「おお……」
応接間の豪華さたるや。
ジャンルで言うならネウトラーレ候爵夫人よりで、商談の為とシンプルに落ち着かせているガラッシア家とは全然違う。色合いはやや鮮やか。ディエゴぽいかと言われると少し違うから、両親の趣味か歴代君主の趣味か。
「あらディエゴ、貴方がご案内したの」
「はい」
は、いけない。文化遺産なインテリアに癒されていた。ご挨拶だ、掴みは大事だ。
「お初にお目にかかります。オリアーナ・テゾーロ・ガラッシアと申します。どうぞお見知りおきを」
「ええ、よろしくね」
「チアキ、顔を上げていい」
「え?」
横からディエゴに言われ佇まいを直すが、目の前までご両親がきていた。ディエゴと違ってにっこにこだ。ツンデレはさすがに遺伝しない。
「普段息子から話をきいている」
「は、い」
貴方の息子さんをお断りし続けてることですか?やだ恐怖で震える。うちの息子に色目使いやがって的な?この笑顔で攻められたら結構恐怖じゃない。
「貴方の活躍はずっと聴いていたわ。いくらか姿を見たことがあったのだけど、こうしてお会いできて嬉しいわあ」
「ありがとうございます」
「うむ、息子の言う通り美人だなあ」
なんだか滲む天然感。いやこの場は社交辞令もあるから大人の対応というものだろう。
立ち話もということで、座ってお茶を頂く流れになった。さっさと商品を渡すとしよう。
「こちらが」
「あらあもう出来たのねえ! 凄いわあ!」
どれどれと商品を広げるご両親、メイドが茶を持ってきた時、こっそりメイドさんを脳内保管して、はしゃぐご両親に向き直る。
「これでじょぎんぐとすとれっちを続けてれば、私も貴方みたいに大階段から飛べるかしら」
「ごふっ」
危ない、茶吹くとこだったわ。
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